川内、安藤らが世界陸上マラソン代表に 瀬古リーダー「当然、メダルは欲しい」

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世界陸上ロンドン大会へ向けて、男女マラソンの日本代表6選手が発表された 【スポーツナビ】

 日本陸上競技連盟は17日、都内で会見を開き、今夏に行われる世界選手権(8月4日開幕/イギリス・ロンドン)の男女マラソン日本代表選手を発表し、男子は井上大仁(MHPS)、川内優輝(埼玉県庁)、中本健太郎(安川電機)、女子は安藤友香、清田真央(ともにスズキ浜松AC)、重友梨佐(天満屋)が選ばれた。

 今回の代表メンバーに関して尾縣貢日本陸連専務理事は「この世界陸上は、リオデジャネイロ五輪が終わって最初の国際大会。(2020年の)東京五輪、パラリンピックに向けて、まさしくスタートラインだと思います。今回のメンバーは戦えるメンバーだと確信しており、それぞれが持ち味、個性を持ち合わせ、それをロンドンのコースで発揮してくれると期待しています」と語った。

 また瀬古利彦日本陸連マラソン強化戦略プロジェクトリーダーも「選手にあまりプレッシャーをかけても、自分のようなしくじりもありましたから」と笑いを誘いつつも、「全力を尽くしてやればメダルが取れるチャンスは男子も女子もあると思います」と期待を込めた。

 代表発表後には、名古屋ウィメンズマラソンで派遣設定記録を突破し、代表内定を決めていた安藤も参加し、「世界でも自分らしい積極的なレースをしたい」と意気込みを語っている。

 以下、代表発表会見でのコメント。

瀬古リーダー「辛さを超越する走りができるのが川内の魅力」

代表選考理由を説明する瀬古リーダー 【スポーツナビ】

瀬古マラソン強化戦略プロジェクトリーダー
「異なるレースの中から、3名を選ぶ上で、マラソンのレース全体をいかにコントロールできたかという観点から選考しました。レースが不安定であったり、ペースメーカーが機能しなかったり、レース毎に異なる条件においても、42.195キロをしっかり走ることがマラソンだと思っております。それが世界選手権で戦える日本代表としての評価委員会の見解です。そういう意味でこの男子3人、女子3人を選ぶことにしました。

 井上大仁選手は、先日の東京マラソンで日本人1位、選考競技会の中で最も速い記録で、レース展開も評価しました。
 川内優輝選手は、福岡マラソンにおいてペースメーカーが早く抜けた後に、経験を生かして、自分で仕掛けてマラソンを作り上げました。日本人1位になったことも評価しています。
 中本健太郎選手は、優勝をするためレースの主導権を自分で握り、2時間9分台で優勝したことを評価しました。

 女子の安藤友香選手は、文句なしの派遣設定記録の突破です。
 重友梨佐選手は大阪女子マラソンにおいて、前後半、大きな落差もなく、冷静にレースを進め、優勝したことを評価しました。安定感のあるレース内容に成長を感じました。
 清田真央選手は、ハイペースの中で自己記録を更新。2回目のマラソンで進化を問われる中で、先頭集団から離れた後もまとめることができ見事なレースでした」

――瀬古リーダーに。設楽悠太選手(Honda)への評価が高かったが選ぶことは考えなかったのか?

瀬古 今回は選ぶことができませんでした。できれば、われわれも将来を見据えたいという思いはありました。しかし選考基準の中で公平にやるとしたら、彼を選ぶことはできません。ただ、彼はまだ若いので、2回目、3回目で大きく成長することを期待しています。やはり自分で手繰り寄せることも大事なので。あまり甘やかしてはいけないと思っています。

――今後に向けて選考基準を変更することは?

瀬古 いろいろなことを作業中で、ここで言える状態ではないです。(2020年東京五輪は)地元ですから、戦える人を是非選びたいなと思います。まずは安定した力をつけることが大事だと思います。1回走ったからどうのではなく、マラソンは2回、3回と安定した走りが評価に繋がっていくので、1回走ったから評価するというのは甘いかなと思います。

――本番での目標は?

瀬古 選手にあまりプレッシャーをかけても大変ですから。特に初マラソンで成績を出した選手もいますし、あまりプレッシャーをかけても、自分の“しくじり”もありましたから(笑)。
 当然、メダルは欲しいです。サボる人はいないので、全力を尽くしてやればメダルが取れるチャンスは、男子も女子もあると思います。是非、本番の日に練習してきたことを100パーセント出せるコンディションに持っていって欲しいなと思います。そうすれば、私たちが期待するような結果が出ると思います。
 今から期待するとかわいそうなので。止めておきます。頑張りすぎて血尿を出すかもしれないので(笑)。

――今回の代表は駅伝をやっていないメンバーが中心になったが?

瀬古 これは以前も同じ話をしましたが、実際問題、自分の時代もそうですし、宗(茂・猛)兄弟、中山(竹通)もそうです。駅伝を中心にやっていたわけでなく、やはりマラソンを中心にやって、駅伝がありました。それを最近はどうしても、五輪イヤー以外は、駅伝が10になっている企業が多くなっています。それを変えていかないと、日本のマラソン復活はないと思います。それはこれから、そういう作業をしていきたいなと思います。当然、駅伝は会社でやりますから、会社の上の方たちにも理解を得て、これは日本陸連を挙げてやっていかないといけません。

――川内選手の魅力は?

瀬古 誰が見ても、苦しそうで辛そうで、遅れそうだなと見えても、そこから巻き返して、辛さを超越する走りができる。あの能力を今のマラソン選手に持って欲しいなと思います。あのような走りができるのは、男女ともに川内君しかいないと思います。それが彼の魅力だと思います。

――メダルを目指す上での鍵は?

瀬古 当然、相手はケニア、エチオピア、東アフリカ勢が出てきます。当然、力からすれば、相当な開きがあります。ですがチャンスはあります。42.195キロで、自分の力をしっかり出せる走りをすれば、相手の出来次第ですが、チャンスがあると思います。それが走れなかったら望みはありません。
 女子の場合は、まだ世界との差は小さいので、女子の方がメダルを取るチャンスは男子より近いと思います。

――ペースメーカーがいない中でどういうレース作りを期待したい?

瀬古 予想されるのは「ネガティブスプリット」。当然、そういうペースになると思います。前半と後半をいかに落差を縮めるか。そうすることによって、メダルになったり、入賞になったり、圏外になったりと。前半と後半を大体、同じ(タイム)にすれば上位に入れます。上がればメダルが取れます。

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