【UFC】ブラッド・ピケットの“ワン・ラスト・パンチ” 突貫の小僧、地元ロンドンで最後の勇姿
UFC突貫の小僧ブラッド・ピケットが地元ロンドンで最後の勇姿 【Zuffa LLC】
ピケット(英国、MMA戦績25勝13敗)のUFCでの戦績は5勝8敗と必ずしも奮ってはいないのだが、いつなんどき、誰が相手でもアグレッシブなファイトスタイルで、“ワンパンチ”というニックネームの通り、常に次のワンパンチで試合が終わりかねないスリルあふれる試合は、UFC会長のデイナ・ホワイトも「見ていて最も楽しい選手の1人」と太鼓判を押す、記録よりも記憶に残る選手だ。WEC時代の2010年にはデメトリアス・ジョンソンを下した実績もある。
クビにされる前に威厳を持って自分で辞めたいんだ
しかし、この試合でピケットは自身の気力の限界を感じ取ってしまったと、自らのポッドキャスト『One Punch Podcast(ワン・パンチ・ポッドキャスト)』で語っている。
「正直、自分にがっかりした。ユライアのパンチはそんなに強烈ではなかったのに、オレはダウンをしてしまった。これまでのオレなら、ダウンを取られてもそこから復活することができていた。でもトーマス・アウメイダ戦(2015年7月、UFC189)でノックアウトされてからというもの、何だか打たれ弱くなってしまってね……。格闘技は本当に、フィジカル10%、メンタル90%だと思う。オレはずっと、メンタルの強さでやってきたから、ちょっときつくなってきた」
「だから今回のロンドン大会で、ユライアと同じように、オレも自分のホームタウンで引退をしたいと思う。この仕事は大好きだけど、何事もどこかで終わりが来るものだ。UFCからクビにされる前に、少しは威厳を持って、自分で辞めたいんだ」
ピケットは引退後には自らグレートブリテン・トップチームを設立し、後進指導に当たりたいとしている。ショーマンシップあふれるピケットのこと、地元ファンの大声援を受けたファイナルファイトは、勝っても負けても、感動の勇姿を見せてくれるはずだ。
ピケットの対戦相手のマルロン・ベラ(エクアドル)は、負傷欠場となったヘンリー・ブリオネスの代打として、試合9日前のオファーを受けてスクランブル発進する。ピケットがジョンソンに勝った試合を17歳の頃に震えてみていたというベラは、「彼は退く身だけれど、僕はこれからの選手なんだ。リスペクトはしているけど、試合に勝つのは僕だ」とピケットの引退劇を台無しにしようともくろんでいる。
関節技の鬼に挑むモデル兼業ファイター
モデルを兼業する異色のファイター、アラン・ジョバーンはサブミッションの鬼、グンナー・ネルソンと激突 【Zuffa LLC】
「確かにあちこちでコマーシャルに出たりしているけれど、僕が一番情熱を持って取り組んでいるのは格闘技なんだ」とジョバーンは語っている。「僕の知り合いは、僕のことを格闘家だと思っている。基本的には毎日寝て、食って、練習をするだけの毎日をもう10年も繰り返しているからね」
とはいえ、UFCでの活躍がモデル業にも好影響を及ぼすようになっており、最近ではヴェルサーチの香水ディランブルーの広告キャンペーンに起用されたのだという。
「ヴェルサーチの仕事では、光栄なことに大物写真家ブルース・ウェーバーから直々に電話でオファーをもらった。ヴェルサーチだというだけでもすごいことなんだけど、なかでも香水のキャンペーンは一番モデル料が高く、何年も継続して使ってもらえことも多い。こういうことがスーパーモデルへの道になったりするんだ」
もっとも、ジョバーンの戦いぶりはアグレッシブで、商売道具のハンサムな顔を殴られることを厭(いと)わない様子は、見ているこちらが心配になるほどだ。「最近2試合、強い勝ち方を見せることができた。僕の目標は、さっさとランキング入りして、ベルトを狙うことなんだ」とジョバーン。そのためにはまず、今回の対戦相手であるUFCウェルター級9位、サブミッションの鬼、グンナー・ネルソン(アイスランド)を下すことが必須となる。
マヌワは地元で勝って次期コンテンダーの座を狙う
メインイベントでは地元ロンドン出身のジミ・マヌワがコーリー・アンダーソンと対戦 【Zuffa LLC】
英国とアイルランドから実に10選手が出場するこの大会、ますます盛り上がる英国のMMA熱を伝えてくれるはずだ。
(文 高橋テツヤ)
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