小久保監督「結束力は高まっている」 青木も決戦へ向けて意気込み語る

中島大輔

アメリカへの移動を前に、世界一奪還への決意を語った小久保監督 【写真は共同】

 3月16日、前日に第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の2次ラウンド突破を決めた野球日本代表「侍ジャパン」の小久保裕紀監督と青木宣親が、都内ホテルで囲み取材に応じた。チャーター便で調整地の米国アリゾナ州に向かう前、準決勝以降の戦いについて意気込みを語った。

「選手たちは一段と成長した」

 以下、小久保監督の一問一答。

――激戦が続いた東京ラウンドから一夜明け、いまの心境を教えてください。

 ゆっくり寝られるかなと思ったけど、眠りが浅かったです。準決勝で頭がいっぱいです。

――6試合を振り返ってどうでしたか。

 紙一重の場面が多々あったなというところです。そこで日本に勝利の女神が微笑んでくれた場面がありました。決して楽な試合はなかったです。そういうなかで戦った選手たちは一段と成長したと思います。

――アメリカでは準決勝までに(アリゾナで)2試合組まれています(現地時間18日のカブス戦と19日のドジャース戦)。どういう時間にしていきたいですか。

 本来であれば少し疲労を抜くことを考えたいですけど、2試合組まれていますので、調整しながらうまく疲労を抜かないといけないと思います。時差もありますので。それに気候も違う。アリゾナは暑くて、(準決勝の)ロサンゼルスに行くと夜が寒いこともあるので、事前の情報は入れていますが、選手がしっかり対応していかないといけないと思います。

――アリゾナでの2試合では、起用法はいままで通りなのか、新たなものを試すのか。

 試すことはないです。起用は打席数をなるべく全選手に与えるようにしようと思います。

――投手起用はどうですか。

 まだ投手コーチと詳しく話をしていないんですけど、本番に向けて中継ぎの投手は1試合は投げておきたいと思うので、どちらかで投げさせたいと思います。あとは(準決勝、決勝の)先発をしっかり決めていこうと思います。

「岡田のゲッツーで流れが来た」

1次ラウンド・オーストラリア戦、岡田(写真)が満塁の場面を併殺で切り抜けたことで流れが来たと振り返った 【写真は共同】

――世界一奪還への思いを聞かせてください。

 連日あれだけのファンの方が東京ドームに足を運んでくれました。球場一色すべてが日本を応援してくれるところでプレーさせてもらったので、本当に後押しになりました。選手はしっかり地の利を生かしたプレーができたと思います。これから向こうに行って逆に寂しい部分もあるかもしれないですけど、日本にはそれだけのファンが応援してくれているとしっかり心に刻みながら、グラウンドに立ちたいと思います。

――紙一重の試合を6連勝と勝ち切れた強さの要因をどう考えていますか。

 要因がわかれば対応しやすいんですけど、わからないことが勝負事だと思います。ただ何度も言うようですけど、全員チームでは主力を張っている選手たちが心を一つにして、日本のためにという団結力が一番だったと思います。

――青木選手から「小久保監督の信頼があるから選手が力を発揮できている」という話がありました。チームづくりで心がけているのはどんなことですか。

 チームづくりというよりは、送り出した選手は信じるしかないので。そこに自分自身、疑念を抱かないと言いますかね。疑いを持たずに、自分が送り出した選手を信じると徹底して6試合やりました。

――6戦全勝という結果になったのは、試合をこなすたびに団結力が増したという印象ですか。

 増していったということは、勝つたびにそういうこともあったと思います。あとは本戦に入って、打線が振れてきたと感じました。そういうなかで効果的なホームランが出て、「これで行ける」というものが打線全体に出たと思います。投手はある程度継投で逃げ切れる選手がしっかり見つかりました。

――6戦を戦って状態が良くなったきっかけは。

 いっぱいありすぎて、全部を思い出せないですね。ポイントだったのは(1次ラウンドのオーストラリア戦で)岡田(俊哉)の1死満塁の2ボールからのゲッツーじゃないですか。あそこが1次ラウンドにおいて、流れが来たところだと思います。

――このチームで一番成長した選手は誰ですか。

 当初、固定としては考えていなかったんですけど、キャチャーの小林(誠司)です。

――どういった点が伸びましたか。

 伸びたというより、代表のキャッチャーとして、豪華な投手陣に遠慮することなく、いい部分を引き出そうとする姿が出ていたと思います。

「準決勝へすべての策を練る」

――飛行機に乗っての時差調整と到着してからの調整はどうしますか。

 それは個人ですね。まったく時差を気にしない選手もいますし。ただ、着いてすぐには動かないです。翌日の練習が朝早いので、その辺りから慣らしていくしかないと思います。

――アメリカに着いたらみんなで集まって食事をしますか。

 その時間は今回、とらないです。体調管理を優先していいコンディションに持っていくためにやめることにしました。

――先発投手はこれから決めると言っていました。昨日好投した千賀(滉大)と菅野(智之)が候補になりつつ、アメリカでの状態を見て決めますか。

 向こうでしっかり伝えようと思います。

――アリゾナの強化試合2試合の先発は長いイニングを投げるのが難しいと思いますか。

 そうですね。先発投手は、長いイニングは無理だと思います。
 
――その2試合はピッチャーについてコンディションを見極めるのか、ある程度の順番を考えて望むのか。

 勝ちパターンでの継投という感じではなくて、中継ぎ陣は全員、2試合のうちどちらか1試合で投げてもらうことになると思います。突然、平野(佳寿)が先発したりすることはないです。

――先発は準決勝、決勝を見据えて、そこで登板する選手がアリゾナでは投げないこともありますか。

 そうですね。本人の調整を優先しようと思います。こちらから押し付けることはないです。

――人工芝の東京ドームから天然芝のドジャー・スタジアムになり、守備力も重要になると思います。守備重視のオーダーにするのか、攻撃重視にするのか、どう考えていますか。

 対戦チームも決まっていないので、相手投手のレベルを考えて打線を組もうと思うので、まだはっきり決めていません。

――準決勝、決勝の先発は相手を考えて決めますか、準決勝を一番大事だと考えて決めますか。

 まず準決勝がすべてだと思って、すべての策を練ろうと思います。

――準決勝以降を戦う上で、日本代表として誇れるものは何ですか。

 誇れるというより、出てくる国はおそらくみんな顔と名前の一致するようなバリバリのメジャーリーガーです。まず球場の雰囲気にのまれないこと、相手の選手に名前負けしないことは非常に大切だと思います。われわれが乗り込んでいくわけですから、より強い結束力を持っていかなければいけないと思います。

――チームとしての結束力は、強化試合と本戦の6試合を含めて高まっていると思いますか。

 もちろん高まっています。

次ページは青木の一問一答。

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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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