小久保監督「結束力は高まっている」 青木も決戦へ向けて意気込み語る

中島大輔

「本当に厳しい戦いが続いた」

「一戦にかけて準備したい」と気を引き締めた青木 【写真は共同】

 以下は青木宣親の一問一答。

――激戦が続いた東京ラウンドから一夜明け、いまの心境を教えてください。

 このチームは、まずはアメリカに行くことが目標でした。移動も含めて休みもあるので、しっかりコンディションを整えて、あと2戦に備えたいと思います。

――ここまで6戦全勝という結果についてどう思っていますか。

 自分のなかでは全勝したというより、次の決勝ラウンドに進めることのほうが大事だと思っています。無敗で上がったのはもちろんありますけど、本当に厳しい戦いが続いたので、いい勝ち方だったと思います。

――06、09年に世界一になったチームと比べて、いまのチームをどう見ていますか。

 あのときはイチローさん、城島(健司)さん、岩村(明憲)さん、松坂(大輔)さんらたくさんのメジャーリーガーの方が出ていて、イチローさんを中心に存在感で引っ張っていたという印象があります。それに引っ張られました。

――当時のチームと比べていまはどうですか。

 いまはみんなが引っ張っているという気がします。いい感じでチームの流れが来ている気がするし。壮行試合ではちぐはぐした感じがあったかもしれないですけど、一番大事なのは(最初の)キューバ戦だったので。本当にいい入りで、いまがあると思います。

――普段戦っているメジャーリーガーに対し、国を背負って戦うことをどう思いますか。

 次のラウンドからは、自分はほとんどの選手を知っていると思います。どれくらいのレベルかもわかっているつもりです。確かに素晴らしい選手ばかりですけど、日本もチーム全体でやっていけば、必ずやっていけると思う。しっかり自信を持ってプレーしていきたいと思います。

――国を背負って戦える喜びはありますか。

 勝つか負けるかだと思うので、レギュラーシーズンとは違った戦い方になると思います。今回はトーナメントですから、一戦にかけて準備したいと思います。

「準備をしっかりして残りの時間を大切に」

――世界一奪還への思いを聞かせてください。

 初めから目標としていたところではあると思います。大会に臨むにあたって、一つ一つやっていくことをみんな言い聞かせていました。とにかく次の準備をしっかりして、残りの時間を大切に過ごしていきたいと思います。

――強化試合でちぐはぐだったところから、6戦全勝というチームになれた原因はなんだと思いますか。

 小久保監督が選手を信頼したことじゃないですか。ああやってトップの人がみんなを信頼して使ってくれたり、声をかけてくれたりすることで、選手ってやらなければいけないと感じるだろうし、責任を持つことになると思います。その辺がいい感じでプレーにつながっていると思います。

――チームが成長するうえで印象に残っているシーンはどれですか。

 初戦のキューバ戦をとったのは大きかったと思います。オランダ戦も本当に大切な試合だったと思いますけど、やっぱり初戦の入り方はすごく難しいですし。練習試合、壮行試合でもあまりいい結果が出なかった分、入りを大事にしていけたところは(その後、良くなった理由として)あると思います。初戦は大きかったと思います。

――アメリカのほうがホームだと思います。ホームに帰るような気持ちはありますか。

 どっちがホームかわからないくらいです。2週間くらい前までアメリカにいたので。とは言っても、オフシーズンはずっとこっちにいたし。グラウンドだけを見れば、確かにホームグラウンドかもしれないですけど。東京ドームよりはホームグラウンドの気持ちはしますね。

「ブレない心がより大切」

青木はMLBでの経験をプレーを通して伝えてきた(写真は左から筒同、青木、鈴木) 【写真は共同】

――相手選手のデータが頭のなかにあると思います。情報は選手に伝えていきますか。

 ちょくちょく伝えていきたいです。試合中から筒香(嘉智)なんて外野が集まっているとき、そんな話もしていたくらいなので。伝えていきたいことは伝えていきたいです。バッターはみんな、特に球筋を知りたいと思うので。自分の打席に立った印象を伝えていきたいです。データはデータ班がいるので、安心して任せられると思います。プレーしたときの感覚を教えるほうがいいのかなと思います。ただ、感覚の違いが人それぞれあると思いますし、自分の感覚を大事にしてほしいです。いままでもそう言ってきたつもりです。一番大事なのは、自分がしっかりブレないでいることです。「自分がどう見えるかを大切にしてほしい」と言っていたので、それは継続していきたいです。

――そういう伝えていく姿勢は、06、09年のときに先輩のメジャーリーガーから伝えられたことでもありますか。

 先輩がやってきたのは間違いないと思います。自分はそういう先輩を見て育ってきました。それが日本の野球界のいい伝統になるようにと、自分も願っています。今回、自分がこういう立ち位置で参加させてもらって、その辺は伝えていきたいことの一つでした。しっかり相手の気持ちもくみながら、うまく伝えられたらなと思います。

――リーダーシップを発揮したり、日本のファンの前でプレーしたりすることについてプラスの面があると思いますが、どう感じていますか。

 日本の野球に触れて、新鮮な気持ちで野球をやれているなというところがありました。日本のファンの前でプレーできて懐かしかったです。そうかといって、そういう余裕に浸る暇もないような試合でした。必死に自分のプレーを見せるだけではあったんですけど。
――チームを引っ張ることの発見などはありますか。

 誰が見ても、いい雰囲気なのは間違いないと思います。自分はベンチにいて、それは感じます。自分は確かに円陣を組んだりいろんなことをしましたけど、人それぞれが自分の仕事を探しているというか、そういったところがすごく見えました。みんな、本当にプロフェッショナルだなとすごく感じました。その分、自分ができることを考えて、自分も動いていました。監督、コーチ、スタッフも含め、いろんなコミュニケーションがうまくできたときに、こうやっていい結果が出たと思います。

――青木選手が円陣を組んで試合が動くケースが多かったです。タイミングを考えてやっていますか。

 そうですね。基本的には負けたら終わりと思っているので、早め、早めというのはありました。気づいたら言おうと思っていましたし。少し自重するところもありましたけど、基本的には思い立ったら言うところはありました。

――残り2試合。ここから勝つために、チームにとって何が一番必要だと思いますか。

 自信を持ってプレーすれば、結果が出ることはみんながわかっていることです。いままで通りですけど、ブレない心がより大切だと思います。自分も06年、09年はメジャーリーガーを見たときに、テレビで見たことあるような人たちばかりで、妙にミーハーな気持ちも芽生えたのは確かです。とは言ってもプレーに入ったら、絶対に負けたくないという気持ちもありましたし。そこは別の問題であって、相手はメジャーリーガーですけど、こっちがのんでかかるくらいじゃないと。相手はむしろそういう気持ちできますから。チームとしてしっかりやっていければ、それができると思います。基本的には今まで通りの戦い方をすること。結果がついてきたわけですから、これを信じて自分たちのプレーをするのがすごく大切だと思います。

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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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