スコア以上に苦しんだオーストラリア戦 勝利の裏に鈴木の意思と小林の間
岡田を開き直らせた小林の“間”
制球が定まらず、「放心状態だった」という岡田に対して、捕手の小林が絶妙の間でマウンドへ駆け寄った 【写真は共同】
「マウンドで『ありがたいな』と思って、あの声援をなんとか力に変えていきたいと思いました。お客さんの声援がボールに乗り移って、ストライクゾーンに行って、相手打者の芯を外して、それがゴロを打たせてくれて、ゲッツーになった。すごく感謝しています」
これが、オーストラリア戦の分かれ目となった二つのポイントだ。試合終盤には中田翔と筒香嘉智の本塁打、千賀滉大や宮西尚生、牧田和久の好リリーフがあった一方、中盤で一つ間違えば、勝敗は違う方向に転がっていたのである。
勝利の裏に成功を引き寄せた必然
岡田が大ピンチで放心状態に陥った際、救ったのは捕手の小林だった。試合後、小久保裕紀監督は「小林の声掛けのタイミングは絶妙だった」と振り返っている。女房役が間を置いたからこそ、大観衆は拍手でエールを送り、それが岡田を開き直らせた。
前日のレポートでも書いたが、成功と失敗は紙一重だ。偶然や運を味方につけなければ、勝負はモノにできない。特に小林の置いた間は、指揮官も賞賛するように、苦境を打開するだけの効果をもたらせた。
世界一奪還へ必然を近づけたい
8回から4番手として登板した宮西は打者3人をぴしゃりと抑えた 【写真は共同】
とりわけ気になるのが、ピンチでの継投だ。球数制限は1次ラウンドの65球から2次ラウンドでは80球となり、先発には5〜6回を投げ切ることが期待される。その場合、中継ぎで逃げ切るのは残り3〜4回と想定すれば、オーストラリア戦のように中盤で山場を迎えた際、宮西を早くつぎ込むこともできる。
8日のオーストラリア戦で8回を任された宮西は、安定感抜群の投球で8回を3人で抑えた。百戦錬磨の左腕に試合終盤を任せるのか、あるいは火消し役としてこの日、岡田が任されたような場面で投入するのか。オーストラリア戦では岡田のリリーフが結果的に成功したが、宮西に任せてもいい場面だった。
投手陣の状態を見極めたい中国戦
8日のオーストラリアに勝利し、2次ラウンド進出はほぼ確実になった。ただし相手に恵まれた1次ラウンドとは異なり、この先は手強い相手が待っている。だからこそ偶然を必然に近づけるべく、今後を見据え、中国戦を有効に使いたい。