PSGを封じ込めたバルサの3−4−3 ゴール以上に美しかった諦めない姿勢
審判泣かせだったネイマールが獲得したPK
PSGはカバーニ(9)がアウェーゴールを挙げて3−1とし、バルセロナに6点が必要な状況を強いたが…… 【Getty Images】
戦術の変更はうまくいきかけたが、後半5分、FKの流れから再びバルセロナに押し込まれると、ちょっと物議を醸しそうな場面へ。イニエスタの絶妙なスルーパスに走り込んだネイマールを、DFトマ・ムニエが倒してしまう。
ただし、これはPKとするべき場面なのか、ビデオで見ても尚、意見が分かれるところだろう。ムニエが手を伸ばして引っかけたのなら、間違いなくPKだが、この接触はむしろ、ネイマールの方から引き起こされたようにも見える。もし、主審がそう判断したら、ネイマールのファウルだ。しかし、ムニエがボールとの直線ルートをふさいで倒れていたのも事実。相手競技者の進行を妨げるオブストラクションの反則として、バルセロナの間接FKでも良かったかもしれない。絶対的に正しい判定が存在しない、難しい場面。審判泣かせだった。
このPKをメッシが決めて3−0とし、いよいよPSGも追い詰められた。しかし、試合を見ていた人なら、むしろここからが面白いと知っている。後半17分、PSGはカバーニがアウェーゴールを挙げて2点差の3−1とし、バルセロナに6点が必要な状況を強いた。
バルセロナもすごいが、PSGも優れていた
後半アディショナルタイムに決勝ゴールを決めたバルセロナのセルジ・ロベルト 【写真は共同】
3バックを敷くバルセロナには、SBが上がっていけば、マッチアップするネイマールが対応するしかない。これも良い狙いだった。後半17分のカバーニのアウェーゴールも、FKからではあるが、左SBのライビン・クルザワが背後へ走り、ヘディングで折り返した形。両SBに攻撃の意識を与えたことが、再びバルセロナを苦難に陥れた。
もっとも、このPSGの優れた抵抗は、結果的には終了間際の8分で3ゴールを奪い、大逆転を果たすバルセロナをさらにたたえることになったのだが。
エメリとしては、前半の入りからもっと積極的にいったほうが良かったんじゃないか、という見方もできるかもしれない。しかし4点差があって、そのリスクを負うか負わないかは結果論だ。むしろ、負わない方が、このチームには合っている。
バルセロナもすごいが、PSGも優れていた。だからこそ、この伝説的な試合が生まれた。両チームをたたえたい。