危機感を覚えるマラソン男子代表選考 一歩リードは川内と井上 残り1枠は?
若手に期待するだけでは前に進めない
4月のボストンマラソンに挑戦する大迫ほか、期待値の高い選手は続々現れているが…… 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
びわ湖では先頭の30キロ通過が1時間29分45秒。ペースメーカーが2時間06分0秒台のペースを演出した。だが日本人がもったのは25キロまで。村澤と宮脇だったが、両者ともその後、著しく失速した。
瀬古リーダーが会見で「今日の選手たちにはちょっとペースが速かったかな。それを言ったらおしまいか……」と力なくつぶやく場面も。「若手や指導する監督の話を聞き、こちらからもいろいろな話がしたい」。東京五輪へ、改革は待ったなしだ。
確かに東京五輪は若手にとって大きなモチベーションになる。4月にはリオ五輪5000メートル&1万メートル代表で25歳の大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)が初マラソンに挑む予定(4月17日、ボストンマラソン)だし、次のマラソンシーズンには箱根駅伝の山上り5区に君臨した23歳の神野大地(コニカミノルタ)も第一歩をしるすだろう。東京マラソン2016でハーフを1時間02分台で通過した24歳の村山謙太(旭化成)や、同2017で世界水準のペースで攻めた25歳の設楽にも期するものがあるはずだ。
ただ期待するだけでは前へ進めない。8月に迫ったロンドン世界選手権を戦わなければならないのだ。いちばん“強い”マラソンランナーを決めるレースでは、2時間03分台、04分台の争いは考えにくい。自己ベスト2時間10分42秒ながら15年北京世界選手権で銅メダルを獲得し、リオ五輪でも8位に入賞したムニョ・ソロモン・ムタイ(ウガンダ)の戦い方は日本勢の参考になるかもしれない。川内も以前のインタビューで「銅メダルだったらかなう可能性がある」と話していた。
代表は3月17日の日本陸連理事会で決まる。選ばれた3人が日本の男子マラソンに垂れ込める暗雲に一撃を放ち、そこから光が差し込むか。