地元・韓国と豪華打線のオランダが軸 WBC1次ラウンドA組の見どころ

世界の野球

韓国の主砲を担うイ・デホ 【Getty Images】

 3月6日の韓国vs.イスラエルで幕を開ける第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)1次ラウンドA組。A組は世界ランキング3位の韓国、4位の台湾、9位のオランダ、そして今大会初出場となる41位のイスラエルがエントリーされている。1次ラウンドの中で激戦区と言われているA組の見どころは!?

A組戦力分析

1次ラウンドA組の戦力分析(10段階評価/データ提供:世界の野球) 【スポーツナビ】

威圧感ある打者が多い韓国

 前回大会は初戦でオランダに許した1敗だけで2次ラウンド進出を逃した韓国。初の地元開催となる今大会では、雪辱に燃えている。

 プロ野球の平均防御率が5点を超える超打高リーグなだけあって、昨季打点と打率の二冠王に輝いたチェ・ヒョンウ(KIA)や今年から韓国ロッテに復帰するイ・デホなど、威圧感のある打者が多く名を連ねる。

 一方で投手はここ数年人材不足に悩まされているが、韓国の伝統である多彩かつ細かい継投で最後はオ・スンファン(カージナルス)につなぐパターンがハマれば、優勝したプレミア12同様にカバーは十分可能だろう。

メジャーのレギュラーそろうオランダ

ボガーツ(写真右)は名門レッドソックスの遊撃手を務める 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

 前回は韓国を倒した勢いそのままに、初の準決勝進出を果たしたオランダも前評判が高い。

 ボガーツ(レッドソックス)、シモンズ(エンゼルス)らメジャーのレギュラークラスがそろう内野陣にバレンティン(東京ヤクルト)が加わる豪華打線。投手組は2大会ぶりの出場となるバンデンハーク(福岡ソフトバンク)に加え、国内からもスピードのあるリリーバーが台頭している。

 昨年11月の日本との強化試合では、当落線上の選手も多く起用されたのもあってか、投手層の薄さを露呈。それでもチームの完成度は高まっており、韓国と共にこのグループの二強を形成すると見られる。

「二弱」とは扱えないイスラエル・台湾

台湾はチェン・グァンユウら投手陣の粘りが勝ち抜けの条件となる 【写真は共同】

 この両国を軸に2次ラウンド進出争いが繰り広げられることが予想されるが、残りの2チームを「二弱」として扱えるほど、このグループはシンプルな構図ではない。

 予選から勝ち上がり初出場を果たしたイスラエルは、メジャー経験者や将来昇格が期待される有望株を含むユダヤ系のマイナー選手で構成されており、戦力と結束力を兼ね備える。

 前回初の2次ラウンド進出を果たした台湾は、プロアマの不協和音が原因で、決して足並みのそろったメンバーとは言えない。ただ、前回はオランダから勝利しており、チェン・グァンユウ(千葉ロッテ)らNPBでプレーする投手陣の粘り次第では、他の3チームから白星を挙げることは十分に可能だろう。

 投手層に一抹の不安を残す韓国とオランダの隙を突いて「二弱」が勝つ可能性は低くない。今大会から勝敗が並んだ場合にはプレーオフも導入されているが、最終戦まで展開の分からない混沌(こんとん)としたグループになりそうだ。
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著者プロフィール

2005年秋の第1回アジアシリーズ、翌春の第1回WBC開催をきっかけに世界の野球事情を知る喜びに目覚めた国際野球オタク。これまで寄稿した媒体に『Number』『EX大衆』など。国内外を問わずさまざまなジャンルの野球を見ているが、情報量の少ないマイナー国の野球を中心に、ペンネームと同名のブログ『世界の野球』で情報発信することを日課としている。

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