世界基準を追求するバスケ男子日本代表 イラン戦でお披露目となる新たな方向性
パヴィチェヴィッチ暫定HCが指揮
イラン戦で男子日本代表の暫定HCとして指揮を執るパヴィチェヴィッチ(右) 【写真は共同】
イラン戦の指揮を執るのはルカ・パヴィチェヴィッチ氏。長谷川健志前代表ヘッドコーチ(HC)が昨年11月に退任したため、日本バスケットボール協会(JBA)の技術委員会アドバイザーだったパヴィチェヴィッチ氏が暫定HCを担うこととなった。
セルビア人のパヴィチェヴィッチ氏は、選手としては旧ユーゴスラビアリーグのユーゴプラスティカ、ポップ84(同一チーム、現スプリト/クロアチアリーグ)でガードとしてプレー。のちにNBAで活躍するトニー・クーコッチやディノ・ラジャらとともに、欧州最高峰の欧州チャンピオンズカップ(現ユーロリーグ)で1988−89年シーズンから3連覇を果たしている。また、3連覇目を達成した時は元男子日本代表HCのジェリコ・パヴリセヴィッチ氏がチームを率いていた。
コーチとしてはセルビア、ギリシャ、ドイツ、フランスなどのプロリーグでHCを歴任し、セルビアではユニバーシアード代表を金メダルに導くなどの実績を残してきた。
日本は5月か6月に行われる東アジア選手権で4位以内に入り、19年W杯への出場権のかかる8月のFIBAアジアカップ(開催地レバノン、今年からアジアカップへと名称変更)への切符を確実に手にすることが当面の目標となる。
アジア2番手のイラン
最近では15年のFIBAアジアカップの3位決定戦で63−68、翌16年のFIBAアジアチャレンジの予選リーグでは57−68で敗戦している。若手が多いとはいえ、日本の現在位置を探る上で、また東アジア選手権への準備という意味で、FIBAランキングでアジアで中国に次ぐ実力を誇るイラン(25位、日本は48位タイ)は良い相手だと言える。
また、19年W杯の予選からはホーム&アウェー方式で行われることが決定しており、国内のシーズン中も代表戦を戦うこととなる。そのため、選手にはタフさや適切なフィジカルコンディショニングと同時に、リーグ戦と代表戦およびそれに付随する合宿参加などを繰り返すサイクルに慣れることも一層求められる。
新生日本代表に感じる期待感
千葉で好調をキープする富樫は、日本代表の中心選手としての活躍が期待される 【写真:アフロスポーツ】
この試合に向け60名以上の代表候補選手を集め、12月と1月に参加メンバーを分けて計4度の短期合宿を行った。この合宿では新たな戦術を取り入れるというよりもピック・アンド・ロールや1対1のディフェンス、トランジションディフェンスなど、攻守における基本的なプレーの精度と強度を高めることの意識付けという要素が強かった。
シーズン中、しかも試合をこなして間もない週明けの合宿であっただけにフィジカルコンディションは万全ではなかった。それでもパヴィチェヴィッチ氏の仔細かつ厳格な指導で選手たちは得るものが多かったようだ。金丸はパヴィチェヴィッチ氏の指導について「ドライブしたあとの戻り方など細かく指摘されました。やってみてやりやすかったし、ボールが回るシステムだと思います」と語っているが、そのトーンには新体制の代表チームへの期待感がにじみ出ていた。