“異色対決”が伝えたバスケの新たな魅力 学生とストリート選手、それぞれの思い

『hangtime』編集部

大学選抜も観客もはまったストリートの“ワナ”

試合はストリート選抜が勝利。前回敗北のリベンジを果たした 【スポーツナビ】

 さて、結果はというと、予想外(!?)の大差がつき、78‐63でストリートボーラーたちが前回敗北したリベンジを果たした。大学選抜はお祭り的な雰囲気だと高をくくっていただろうし、本格的な活動期間の狭間とあって本格的な練習はしていない。が、“バスケを究極に遊ぶ”ことにかけては超マジメなストリートボーラーたちは手抜きナシ。最高のパフォーマンスを披露しようと一生懸命で、リバウンドやルーズボールへの執念はすさまじかった。ストリートを見慣れたオーディエンスは、1on1やドリブルのテクニックに目を見張り、大学選抜のナイスプレーには大きな歓声を送った。

 大学選抜はストリートボールの雰囲気に引き込まれ、ワナにはまったようだ。MC・MAMUSHIの呼び込みでコート入場の際、バク転でド派手に入場した秋山煕は真っ向勝負のドライブインを仕掛け、アブ・フィリップ(ともに専修大)は何度もゴール下でシュートをたたき落した。倒れたボーラーに向かって「どうだ!」と言わんばかりに雄叫びを上げるなど、いかにもストリートらしいシーンで学生たちも大いに盛り上げた。が、それがワナだった。その雰囲気の中でプレーすればストリートボーラーたちに一日の長がある。

 とはいえ、勝敗がすべてではない。バスケを楽しむこと、バスケを楽しんでもらうことが彼らのモチベーションになっている。それはストリートボールでも、通常のバスケでも同じなのかもしれない。

 今回のTSCは、1000枚のチケットが3日間でソールドアウトしたと聞く。インカレやウインターカップなどの学生バスケのファンだという男性に話を聞くと、「学生がMCに煽られてストリートっぽいプレーをしているのが面白いし、観ている側も乗せられました。『SOMECITY』は知っているけど、どんな感じかわからず行きづらかったんです。これでハードルが下がったから、今度『SOMECITY』に行ってみます」とのこと。大学選抜で初出場のプレーヤーも、ストリートボール初観戦のビギナーも、きっと想像を超えた雰囲気に魅了され、みなワナにハマったのだ。

 最後にもう1つ、伝えておきたいことがある。それは、MC以外にムービーのカメラマンが機材を背負ってコートを走り回っていたこと。なるほど、これが冒頭で触れた動画となり、インターネットで配信されるというわけだ。この映像は迫力満点! ストリートボールの魅力はさまざまな機会にライブで楽しんでほしいと思うが、“真剣勝負”をこんな間近で撮影することができるのも、ストリートならではだろう。

「こんなバスケ」を知らないと損をする。どんなバスケなのかはライブで、そして映像で体感してほしい。競技バスケの5on5とは少し異質でも、バスケ好きならきっと楽しめる。TSCは競技バスケとストリートの垣根を取り払い、バスケの新たな魅力を広めるコンテンツとして定着していくはずだ。

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著者プロフィール

B.LEAGUEを中心に、AKATSUKI FIVE(日本代表)やストリートボールまで、日本のバスケットボールの魅力を、わかりやすい記事とデザイン性の高い誌面でお届けする、新しいバスケットボール専門誌。Issueごとに独自の視点で特集を組み、興味深い企画で構成。

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