錦織に次ぐ日本男子期待の21歳 西岡良仁が歩む、世界への道

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錦織に次ぐ期待の21歳、西岡良仁 【写真:アフロスポーツ】

 男子テニスの「ATPワールドツアー2017」が、1月からいよいよ開幕する。錦織圭(日清食品)に注目が集まる日本男子において、次代のエース候補として名前が挙がるのが西岡良仁(ヨネックス)だ。西岡は、錦織と同じく1日開幕の「ブリスベン国際」(オーストラリア)から新シーズンをスタートさせ、16日からの四大大会「全豪オープン」にも出場を予定している。

錦織と同じ道 IMGアカデミーにテニス留学

 西岡は1995年9月27日生まれの21歳。現在の世界ランクは日本人2位の100位(掲載日時点)だ。テニスコーチの両親のもと競技に打ち込み、14歳で錦織と同じく盛田正明テニスファンドの支援を受けて、米国フロリダ州のIMGアカデミーにテニス留学をした。10代のうちに下部大会で6つのタイトルを獲得するなど頭角を現し、14年にプロ転向。同年の全米オープンでグランドスラム初出場を果たすと、翌年の全米では本戦初勝利を挙げた。16年はチャレンジャー大会2大会で優勝、世界ランクも8月に自己最高の85位に到達した。

 西岡は1年をこう振り返る。
「今年は(ツアー下部の)チャレンジャー大会ではあまり勝てませんでしたが、(それよりも上の)ツアー大会で自分のなかではいい結果を出せました。格上の選手にたくさん勝てたので、そういった面ではすごく良かったのです。でも、目標としていた(リオデジャネイロ)五輪に出られなかったので、そこの部分はちょっと悔しい思いがあります」
 世界ランキングを上げていくうえで、勝利の“取りこぼし”はネックになる。「上の選手と試合するときはチャレンジャー精神でいいプレーができるので、逆に下の選手との試合でいかに自分のプレーを引き出せるかが僕の課題です」と、今後の戦いを見据えた。

世界を転戦 “マイナス40度”の極寒地でも

デ杯のシングルスで初勝利を挙げた西岡(左端)。錦織とも代表チームメートに 【写真:アフロスポーツ】

 西岡が口にするチャレンジャー大会やツアー大会など、男子テニスの世界には、グランドスラムと呼ばれる四大会(全豪、全仏、ウィンブルドン、全米)を頂点とした、ATPマスターズ1000、ATP500、同250、同チャレンジャーツアー、ITFフューチャーズと続くピラミッド状のカテゴリーがある。
 選手たちは下部大会でポイントを稼ぎ、より高いカテゴリーへの挑戦権を得る。試合環境も変わるそうで、「フューチャーズとチャレンジャーでは、あまり(環境は)変わらなかったです。でも、それより上のカテゴリーとは態度や待遇のされ方が違うので、もっと上にいけばいくほど、リラックスしてやりやすい環境でテニスができます」と話す。

 極寒地での大会もあり、16年の最後に出場したキャピタルカップはカザフスタンのアスタナで開催。同地の気温は夏40度前後、冬はマイナス40〜50度前後にまで下がるという。
「(大会時は11月下旬で)体感温度マイナス40度の世界でした。もちろんインドアですが、外に出ていると体が痛くなるので数分も外にいられないくらい寒くて。そんなところに行ったのは初めてで、逆にちょっと興奮してテンション上がって……優勝しちゃいました(笑)」

 一方で、カテゴリー上位の大会に出場し勝利すれば、より高額な賞金、高い世界ランクのポイントを獲得できる。なかでも四大大会では、優勝者に2〜3億超円の賞金が贈られる。西岡の場合、昨年の全米本戦初戦敗退という結果でも、「大体400万円」(西岡)の賞金を得たそう。

 またツアーは同時期に世界各地で複数、開催されているため、自分がどの大会に出場するかを選ぶ必要がある。少しでもポイントを稼ぐためにライバルが少なそうな小さな大会に出る選手や、高いポイントや賞金を求めて大きな大会を選ぶ選手。選択は選手によってさまざまだが、西岡の場合はこう決めている。
「レベルを上げるほど勝てなくなりますけど、でもやっぱりまだ21歳と若いので、トライできるところはなるべくトライしていこうと思っています。ランキングを上げるために下のレベルの大会に出ることは、なるべく避けるようにしています」

 とにかく今は経験。成長をするべく、各地のツアーを転戦する。

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