錦織に次ぐ日本男子期待の21歳 西岡良仁が歩む、世界への道
ティエム、プイユ……台頭する同世代の選手たち
13年の121位から、今季最高で7位まで世界ランキングを上昇させたティエム。西岡と同世代の選手が、次々と頭角をあらわしている 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
ティエムは、ここ数年で着実にステップアップを果たしている若手のひとりだ。全仏では自己最高のベスト4に進出し、世界に存在をアピール。13年11月に121位だった世界ランキングは、今季最高で7位まで上昇。シーズン後半はトップ10に定着し、ツアー最終戦で世界ランク上位8選手のみが出場するATPツアーファイナルズに初出場した。17年も活躍が大いに期待される。
「ティエム選手とはジュニアでもプロでも試合をしましたが、力がすごいですね。今まで受けた(ショットで)一番重いなと感じました。片手のバックハンドですが、力もスイングも本当にすごい。バックでもフォアでも、そしてサーブでもスピンがむちゃくちゃかかって、すごく跳ねます」
またプイユには、昨季16年のブリスベン国際で勝利しているが、「もちろん強かったんですが、正直に言えば、いきなりトップ20に入るとは思わなかったです」と驚きを隠さない。しかし1シーズンで、世界ランクを78位から15位へと一気に上昇させたのは事実。「プレーがなかなか崩れないところが、上位選手と戦って勝てるチャンスを生み出せる要因なのかな」と、上位に食い込む鍵を探り、ライバルの背中を追いかける。
錦織圭から学ぶこと
「もちろん技術がすごいんですけれど、勝負強さだったりとか、大事なところで必ず自分から積極的にとりにいく姿勢だったり、あとは大きい選手に対しても、ゲームメークが本当にすごいなと思っていて。どういうところを錦織選手が見据えているのかというのは、ジュニアのころから練習をよく見ていて思っていました。
やっぱり背が低い分(178センチ。テニス選手では小柄な方)、動きはもちろん速い。でも、試合後のデータを見ると、1試合に動いた移動距離は錦織選手が一番短かったりします。しっかり走っているのに効率のいい動き方をしいる。決めるところをしっかり決めて、無駄に走らずに最短距離を動いていると思うので、そういう動き方やフットワークがすごいと思います」
西岡自身も身長170センチと小柄。それだけにプレースタイルでも発見がある。
「僕の場合は身長のこともあるので、前に出ていかないといけない。錦織選手のように、どんどん中に入って少しでも相手にプレッシャーをかけていけるようなプレーをしないと勝てないと思うので、緊張して引いてしまう部分もあるんですが、来年はなるべくそれを(心掛けたい)」
同じIMGアカデミー出身で、練習でも錦織からの刺激を受ける。多くの事を吸収し、2017年の戦いに臨む。
新シーズンが間もなく開幕
ブリスベン国際、そして全豪に臨む西岡。新シーズンはどんな活躍を見せてくれるだろうか 【写真:ロイター/アフロ】
「来年は、まず(これまでに)グランドスラムで2回戦を経験しているので次は3回戦を経験したいなと思っています。それから世界ランクを60位以上に伸ばしたいなと。あと今年は、(ATP250大会の)ツアーアトランタでベスト4に入っているのでもう一度ベスト4以上に入りたいですね」
「世界ランク60位以上」。世界ランキングのポイントは1年ごとに消え、あらたな結果が加算されていく。前年より成績が下がったり、休養期間が増えたりすれば、ライバルたちに追い越されてしまう厳しい世界だ。そのなかで、現在よりも40位以上ランクを上げるには、まずはコンスタントに試合に出場し続けることが必要。新シーズンも世界各地の大会を転戦し続ける。
そして将来的には、24歳で迎える2020年東京五輪で「メダルを取りたい」とも。ツアーでの活躍、そして五輪。いずれも簡単な道ではないが、今できることはとにかく「トライしていく」(西岡)こと、成長すること。目標に向かって歩み続けるその言葉と瞳は正直で、とても真っすぐだ。
2017年の四大大会やATPツアーを生配信する予定の「スポナビライブ」特別番組に出演した西岡(中央)。左はテニスプレーヤーで解説者の鈴木貴男さん(左)、右は元女子プロテニスプレーヤーで番組MCの沢松奈生子さん 【スポーツナビ】
◆ATPツアー2017年シーズン主要大会をライブ配信
【放送日】1月2日(月)〜1月8日(日)ブリスベン国際
1月16日(月)〜1月29日(日)全豪オープン