前走好走馬の取捨がカギを握る データが語るチャンピオンズCの穴馬

JRA-VANデータラボ

前走レース、人気、着順別成績(レースは本年登録馬の前走のみ)

【表5】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 今年は登録馬17頭のうち、ブライトアイディアを除く16頭の前走が、JBCクラシック、武蔵野S、みやこSのいずれかというメンバー構成になった。前走レース別成績はこの3レースに絞ったが、複勝率ではJBCクラシックが一歩リードし、みやこSの連対率はやや低い。ただ、極端に大きな差はない印象だ。

 前走の格に関わらず、注目したいのは前走着順別の成績。前走5着以下から好走したのは、長期休養明け2戦目だった08年のカネヒキリのみ。また、同馬のほかに前走連対馬以外で優勝したのは、ドバイ遠征帰り2戦目だった14年のホッコータルマエだけである。国内のレースを順調に消化している馬なら、1着候補は前走連対馬、馬券候補も前走4着以内馬にかぎられる。また、前走10番人気以下の好走はなく、優勝馬は10頭中8頭が前走1〜2番人気だった。

前走・年齢別成績

【表6】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は、表5のデータを年齢別に見たものである。年齢別では5歳馬の好走が多かったが(表2)、この表6では「5歳か否か」で傾向が異なる。まず前走JBCクラシック出走馬で、優勝があるのは5歳馬のみ。3〜4歳は計【0.0.1.10】で、3着1回も1番人気を裏切った形になる13年のホッコータルマエ。6歳以上は【0.3.2.13】と好走しても2着以下に終わっている。

 また、前走4着から好走した3頭も5歳馬。5歳以外で前走4着以下は【1.0.0.51】(1着は前述のカネヒキリ)となるため、基本的には3着以内を条件と考えたい。逆に人気面では、5歳馬で前走5〜9番人気だった馬は【0.0.0.8】と好走がない。5歳以外は前走5〜9番人気でも【0.3.3.27】と2〜3着なら可能性はある。

G1・Jpn1連対実績を持たない好走馬

【表7】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 続いて実績面も見てみたい。まず表7は、G1・Jpn1で連対実績を持たなかった好走馬で、メイショウトウコン以外は5歳以下かつ前走G3以下。加えて、G1・Jpn1で掲示板を確保しているか、まったくの未経験かのいずれかである。また、全体的に中位人気以下の馬が多く、上位人気に推されたトランセンドとベルシャザールは勝利を挙げている。

G1・Jpn1連対実績があった好走馬

【表8】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 一方、表8はG1・Jpn1での連対実績があった好走馬。こちらは、昨年3着のサウンドトゥルーを除く全馬が、前々走以前にG1・Jpn1連対実績を持っていた。また、前走がJpn1以外だった5頭のうち、カネヒキリを除く4頭は勝ってきていることも共通点だ。さらに、牡・セン馬の6歳以下15頭中14頭は5番人気以内。6番人気以下で好走した4頭中3頭は、7歳馬か6歳牝馬である。

結論

 チャンピオンズCはほぼ前走好走馬の争い。5歳以外は前走3着以内、5歳馬でも4着以内が条件になる。また、G1・Jpn1に出走経験があれば5着以内が必要で、6着以下しかない馬よりは未経験馬のほうが良い。人気は5〜8番人気に妙味がある。

 今年の登録馬のうち、前走JBCクラシック組はすべて「5歳以外」。表6にあるように、この組は5歳馬しか勝っていないため、1着候補には推しづらい。残る武蔵野S、みやこS組で、前走9番人気以内・3着以内(5歳は4番人気以内・4着以内)馬は、3歳・ゴールドドリーム、4歳・カフジテイク、アポロケンタッキー。さらに1着候補は基本的には前走連対馬であること(表5本文)、そして近年の4歳馬不振(表2本文)も加味すると、有力なのはゴールドドリームだ。前走人気別の勝率では断トツの2番人気馬で、前走2着も1着とほぼ同等だ(表5)。前々走にジャパンダートダービー3着があり、G1・Jpn1連対実績を持たない馬の好走条件(表7)もクリアする。妙味がある5〜8番人気(表1)あたりに入りそうなのも好材料だ。

 相手候補の筆頭には、JBCクラシック組から3着のサウンドトゥルー。昨年の本競走3着馬でもあり、続く東京大賞典を制し、さらに川崎記念でも2着と好走した。昨年は表8でこの馬だけが例外となる「前走がG1初連対」だったが、実績を重ねた今年は昨年以上の結果も期待できる。

その他は減点材料を抱える馬同士の争いだ。好走の多い5歳馬では(表2)、昨年の4着馬で、前走みやこS3着のロワジャルダン。5歳馬は前走5番人気以下(本馬は7番人気)がマイナスにはなるものの、それ以外の条件はクリアしてくる。ほかに4歳の年齢から減点した、前述のアポロケンタッキーカフジテイクも同等でいいだろう。そしてJBCクラシックを制したアウォーディーは恐らく今回1番人気。4年連続で1番人気が連対を外していることや(表1本文)、前走Jpn1初連対馬の好走は1頭だけ(表8)という点から、このグループの評価になる。また、表5本文で触れた「国内のレースを順調に消化している馬」とは異なるラニも、前走大敗には目をつむり拾っておきたい。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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