前走好走馬の取捨がカギを握る データが語るチャンピオンズCの穴馬
前走レース、人気、着順別成績(レースは本年登録馬の前走のみ)
【表5】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
前走の格に関わらず、注目したいのは前走着順別の成績。前走5着以下から好走したのは、長期休養明け2戦目だった08年のカネヒキリのみ。また、同馬のほかに前走連対馬以外で優勝したのは、ドバイ遠征帰り2戦目だった14年のホッコータルマエだけである。国内のレースを順調に消化している馬なら、1着候補は前走連対馬、馬券候補も前走4着以内馬にかぎられる。また、前走10番人気以下の好走はなく、優勝馬は10頭中8頭が前走1〜2番人気だった。
前走・年齢別成績
【表6】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
また、前走4着から好走した3頭も5歳馬。5歳以外で前走4着以下は【1.0.0.51】(1着は前述のカネヒキリ)となるため、基本的には3着以内を条件と考えたい。逆に人気面では、5歳馬で前走5〜9番人気だった馬は【0.0.0.8】と好走がない。5歳以外は前走5〜9番人気でも【0.3.3.27】と2〜3着なら可能性はある。
G1・Jpn1連対実績を持たない好走馬
【表7】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
G1・Jpn1連対実績があった好走馬
【表8】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
結論
今年の登録馬のうち、前走JBCクラシック組はすべて「5歳以外」。表6にあるように、この組は5歳馬しか勝っていないため、1着候補には推しづらい。残る武蔵野S、みやこS組で、前走9番人気以内・3着以内(5歳は4番人気以内・4着以内)馬は、3歳・ゴールドドリーム、4歳・カフジテイク、アポロケンタッキー。さらに1着候補は基本的には前走連対馬であること(表5本文)、そして近年の4歳馬不振(表2本文)も加味すると、有力なのはゴールドドリームだ。前走人気別の勝率では断トツの2番人気馬で、前走2着も1着とほぼ同等だ(表5)。前々走にジャパンダートダービー3着があり、G1・Jpn1連対実績を持たない馬の好走条件(表7)もクリアする。妙味がある5〜8番人気(表1)あたりに入りそうなのも好材料だ。
相手候補の筆頭には、JBCクラシック組から3着のサウンドトゥルー。昨年の本競走3着馬でもあり、続く東京大賞典を制し、さらに川崎記念でも2着と好走した。昨年は表8でこの馬だけが例外となる「前走がG1初連対」だったが、実績を重ねた今年は昨年以上の結果も期待できる。
その他は減点材料を抱える馬同士の争いだ。好走の多い5歳馬では(表2)、昨年の4着馬で、前走みやこS3着のロワジャルダン。5歳馬は前走5番人気以下(本馬は7番人気)がマイナスにはなるものの、それ以外の条件はクリアしてくる。ほかに4歳の年齢から減点した、前述のアポロケンタッキーやカフジテイクも同等でいいだろう。そしてJBCクラシックを制したアウォーディーは恐らく今回1番人気。4年連続で1番人気が連対を外していることや(表1本文)、前走Jpn1初連対馬の好走は1頭だけ(表8)という点から、このグループの評価になる。また、表5本文で触れた「国内のレースを順調に消化している馬」とは異なるラニも、前走大敗には目をつむり拾っておきたい。
文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。