アメリカズカップ福岡大会は大盛況で幕 アジア初開催にファン1万人以上集結
総合2位を狙った日本チームだが……
大崩れせずに上位で順位をまとめるレース巧者のランドローバー・BAR(左) 【中山智】
さらに、大きくシフトする風にも悩まされる。2日目の1レース目では好スタートで1マークを2位で回航するも、その後のコース選択がシフトした風に合わず、フィニッシュでは5位まで順位を落としてしまった。ここで焦りが出たのか、続く2日目の第2レースでは、スタート時に痛恨のリコール(フライング)。中盤の追い上げもかなわず最下位でのフィニッシュで終わった。
福岡大会の結果によっては、シリーズ全体の総合成績で2位になるチャンスのあったソフトバンク・チーム・ジャパンだが、福岡での結果は5位。ワールドシリーズも総合5位という成績で全9戦が終了した。
今大会を制したのはイギリスのランドローバー・BAR。2位は、6レースで2回の1位フィニッシュを獲得し、ポイントではランドローバー・BARと同点になったスウェーデンのアルテミス・レーシングだった。ランドローバー・BARは1位こそ1回だけだが、それ以外のレースを上位で手堅くまとめるレース巧者ぶりを発揮。最終レースでアルテミス・レーシングよりも上位でフィニッシュしていたため、大会規定により優勝の栄冠を手にする結果となった。
総合優勝はランドローバー・BAR
(©2015-16 America’s Cup Event Authority LLC)
1位:ランドローバー・BAR(英国)/75ポイント
2位:アルテミス・レーシング(スウェーデン)/75ポイント
3位:オラクル・チーム・USA(米国)/70ポイント
4位:エミレーツ・チーム・ニュージーランド(ニュージーランド)/65ポイント
5位:ソフトバンク・チーム・ジャパン(日本)/61ポイント
6位:グルパマ・チーム・フランス(フランス)/59ポイント
■ワールドシリーズ総合成績(第9戦終了時点)
1位:ランドローバー・BAR(英国)/512ポイント
2位:オラクル・チーム・USA(米国)/493ポイント
3位:エミレーツ・チーム・ニュージーランド(ニュージーランド)/485ポイント
4位:アルテミス・レーシング(スウェーデン)/466ポイント
5位:ソフトバンク・チーム・ジャパン(日本)/460ポイント
6位:グルパマ・チーム・フランス(フランス)/419ポイント
戦いは次のステージへ
レース後、インタビューに答えるディーン・バーカー艇長 【中山智】
さらにレース形式も、ワールドシリーズでは6艇が同時に帆走するフリートレースだったが、クオリファイヤーズからは1対1のマッチレースとなり、各チームとも新たなレースの戦略・戦術に向けた練習も必要となってくる。
ソフトバンク・チーム・ジャパンの艇長ディーン・バーカーは福岡大会のレース後「明日は(拠点の)バミューダに戻り、その後はトレーニングプログラムに従ったセーリングをスタートする。同時に、新しい艇の進水に向けて準備していていく。これまでの新艇開発の進展には満足している」と、クオリファイヤーズに向けた対策が着実に進んでいると話している。
ディーン・バーカーは、アメリカズカップのニュージーランドチームで長年艇長をしており、マッチレースを熟知したトップセーラー。フリートレースよりもマッチレースのほうが実力を発揮できるとも言える。優勝したランドローバー・BARのベン・エインズリー艇長も「優勝はできたが、ワールドシリーズの戦いを通して他のチームも十分な実力を持っていることが分かった」と語っており、クリファイヤーズでも熱い戦いが繰り広げられそうだ。