日本代表フォルティウスが挑む大舞台 武器は粘り強さ、五輪への思い秘めまずは世界一へ  

竹田聡一郎

左から小林、近江谷、吉村、小野寺、小谷 【(C)日本カーリング協会】

「粘り強さ」武器に世界の舞台へ

 3月15日から韓国のウィジョンブ市でカーリング女子の世界選手権が開幕する。

 日本代表として出場するのは、2月に横浜で行われた日本選手権を制したフォルティウスだ。チームとしては2021年大会以来4年ぶりの世界選手権となるが、当時は船山弓枝がリードを務めていた。船山がコーチとなり、小谷優奈、小林未奈らが加入した現体制では初めての出場となる。

 それでもチームの目標はあくまで「世界一」だ。

 2010年、19歳でバンクーバー五輪のアイスを踏んでいるリードの近江谷杏菜は、チーム青森の“一強状態”だった時代を知る数少ない現役選手となった。それから15年が経ち、現在は世界ランキングのトップ10に3チームが食い込む、カーリング大国に日本はなりつつある。

 近江谷も「国内のレベルは年々上がっている」と認めたからこそ国内を制してもう一度、世界へ。それも頂点へ。その想いは今季のスタート時点から口にしてきた。今回の世界選手権は2026年ミラノ・コルティナ五輪出場枠のかかる重要な大会だが、彼女は「目標は順位や(オリンピック出場のための)ポイントではない。世界のトップ、世界のいちばん。そこに五輪(出場)枠は含まれてくる」と言い切った。

 また、世界トップを目指すチームのストロングポイントは「粘り強さ」だとスキップの吉村紗也香は言う。

 チームは3月4日に韓国に向けて出発し、6日から9日まで江陵市で行われた江陵インヴィテーショナルに出場。そこで世界選手権にも出場するトルコ代表のチーム・ユルディスと対戦したが、第1エンドに2点を喫すると続く第2エンドでは2点をスティールされ、4点のビハインドを背負った。しかし、第3エンドに後攻で2点を返すと、第4-6エンドまで連続でスティールを記録し、“らしさ”の詰まった試合で一気に劣勢をひっくり返した。

 スロースターター、差しのフォルティウス、不屈のヨシムラetc……。彼女らを形容する言葉は多い。もちろん、安易な失点は禁物ではあるが、リードされた展開でもキーショットを決めて耐え、好機を見つけたら噛みつく。そんなスタイルは、この世界選手権、そして五輪のような10エンドゲームと相性がいい。まずはラウンドロビン(総当たりの予選)通過、それもできれば上位で突破したい。


 ラウンドロビン初日は開催国で昨年大会銅メダル獲得の韓国、16日は同4位のイタリアと成長著しい中国、17日はラトビアと同準優勝のスイス。序盤から強豪との対戦が続く。クオリファイ(プレーオフ進出)は参加13カ国6チームなので、まずはこの5試合で勝ち越したい。

 18日にアメリカ、19日にデンマークとスコットランド、20日にトルコと昨大会優勝で今季もツアーランキングも1位のカナダ(Homan)と対戦する。予選最終日の21日はノルウェーと平昌五輪金メダルのスウェーデンだ。

 こうして時系列に対戦相手国を並べると好チームばかりではあるが、例えば現在の世界ツアーランキング1位のカナダには11月のグランドスラムでエキストラエンドまでもつれこむ接戦を演じた。同2位のスイス、3位スウェーデンには12月の軽井沢国際で白星を奪っている。「世界と戦える手応えはある」吉村。世界トップとの距離感は既に掴んでいる。

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著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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