大阪エヴェッサがバスケ観戦を変える チームラボ総合演出で「観客参加型」に

カワサキマサシ

補強と同様に演出面向上にもクラブが注力

大阪エヴェッサが力を入れる演出テーマのひとつが「光」。試合開始直前にはプロジェクションマッピングでコート内に炎を表現した 【(C)OSAKA EVESSA】

 9月22、23日に代々木競技場第一体育館で行われたアルバルク東京vs.琉球ゴールデンキングスでBリーグが華々しい開幕を飾った翌日、各地でオープニングゲームが行われた。bjリーグで初年度から3連覇を果たした大阪エヴェッサは、ホームの府民共済SUPERアリーナにレバンガ北海道を迎え、1勝1敗で開幕節を終えた。

 日本バスケ界の新たな船出であるBリーグを戦うにあたって大阪エヴェッサが力を注いだのは、元NBAプレーヤーのジョシュ・ハレルソンの獲得などチームの補強と同様に、bj時代から定評があった演出面のさらなるパワーアップ。オフの間に着々と準備を進め、開幕節のゲームで観客に初披露した。

 演出にはいくつかのテーマがあり、その核になるひとつが「光」。まずは試合開始直前に、それを具現化して表した。場内を暗転させると、プロジェクションマッピングを用いてコート内にチームの象徴である炎を走らせ、その上で全身をLED化したマスコットキャラクターの「まいどくん」が、音楽にあわせて身体の色を変えて踊る。選手入場時には、これもプロジェクションマッピングで紹介映像をフロアの上に映し出す。その間にスターティングメンバーはコートに散らばり、DJの紹介とともに1人ずつスポットライトを当て、彼らの姿を浮かび上がらせる。

 一連の派手な演出に客席からは驚嘆の声があがり、その声にはこれから始まるゲームへの期待と興奮の高りを感じさせた。プレーする選手にもこの演出は好評で、スタメンで出場し、スポットライトを浴びた根来新之助は試合後に「まるでNBAみたいだった」と感情のたかぶりを隠しきれない様子で話した。

チームラボの演出で観客に体験を与える

チームラボが総合演出を手掛け、試合後にはコート上で観客体験型のイベントも実施された 【(C)OSAKA EVESSA】

 演出面でもうひとつ重点を置いたのが観客が参加し、会場が一体になること。そのためにスマートフォン用のアプリを開発し、リリースした。開幕節では試合開始直前に「LEDまいどくん」がコートに現れ、アプリを立ち上げたスマートフォンを振るとパワーが送られて全身が輝きはじめ、動き出すという演出がなされた。

 これらの総合演出を手掛けたのは、体験型のアート展が話題を呼ぶなど、最新のテクノロジーを駆使して斬新なデジタルアートを次々と世に送り出しているチームラボ。代表の猪子寿之氏は演出の意図とねらい、見どころをこう語る。

「会場に来た人たちに、テレビなどで見るのとは違うことを体感してほしいと思いました。そのためにお客さんたちも参加して、ここに来ることが楽しいという体験ができる。そんな、会場が一体になる演出を心掛けました。試合の演出を見せるだけではなく、会場に来たらお客さんも参加して、体験するようなエンターテインメントにしていきたいと思っています」

 参加型の仕掛けとして代表的なのがアプリを使った演出だが、それだけにとどまらない。試合が終わってからも、お楽しみを用意していた。試合後にコートを観客に開放し、その中で観客たちがいくつもの光る巨大な風船状のボールをみんなで弾ませて遊ぶ。子どもたちを中心に集まった試合後のコートには、楽しそうな笑顔が広がっていた。

「試合前には会場みんなでスマートフォンを振って、みんなで『まいどくん』を光らせることで、一体感を持ってもらって応援してもらう。試合が終わったあとも、一緒に応援した人たちとボールで遊んで帰れる。自分が応援しているチームが勝ったときはそのまま騒げるし、負けたときも騒いで忘れて帰れるでしょ(笑)。試合が終わったあとに一緒の空間で応援したみんなで、一体となって遊んで帰ってもらうということを体験してほしかったんです」

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著者プロフィール

大阪府大阪市出身。1990年代から関西で出版社の編集部員と並行してフリーライターとして活動し、現在に至る。現在は関西のスポーツを中心に、取材・執筆活動を行う。

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