Bリーグ開幕を祝うホーレス・グラント 日本へ伝えたいNBAでの成功例

スポーツナビ

地元のコミュニティーを巻き込むことはとても大切

「地元のコミュニティーを巻き込むことはとても大切だ」と語る 【スポーツナビ】

――Bリーグについて話を聞かせてください。日本にプロバスケリーグができると聞いた率直な感想は?

 昔フェニックス・サンズでプレーした日本人選手がいたよね? (田臥勇太選手のこと?)そうそう! NBAはグローバルだから情熱、強い思いがあれば、何でも可能だと思う。もしNBAでプレーして成功したいと思っている選手がいるなら、Bリーグで自分の実力を披露する良いチャンスだと思うよ。

――Bリーグのコンセプトは「強化」だけではなく、「エンターテインメント性の追求」と、地域に根差したスポーツクラブ作りをして、アリーナを地域の人々に幸せを与える場とするためにさまざまなアプローチをする「夢のアリーナの実現」という3つの使命(ミッション)があります。このミッションを聞いてどう思いますか?

 本当に素晴らしいと思うよ。地元のコミュニティーを巻き込むことはとても大切で、それが実現することで、ファンが会場に足を運び、選手もやる気が増すという良い効果を生む。恐らくこの点が最も重要だと思う。観客が増えれば、アリーナの規模もより大きくなり、そこからまた進化を遂げるというとても良い流れができる。

――NBAはショーとして完成されていますが、Bリーグもエンターテインメント性を追求するリーグです。NBAでプレーしていて、プレーヤーとして意識していたことはありますか?

 ファンがいなければNBAは存在し得ないと常に思っていたよ。高額なチケットを買って会場に来て、選手と一体となりエキサイティングな雰囲気が生まれるのはファンあってのことだ。

 入場ゲートの両脇にいるファンとハイタッチをしたり、ルーズボールを拾うために飛び込んで、コートサイドにいるファンに接触したり。もちろんファンの安全が第一だけれど、起き上がってファンとハイタッチする瞬間は今でもよく覚えているよ。

情熱を持って楽しんでプレーしてほしい

日本人選手へのアドバイスを求められると「ゲームへの情熱を忘れないでほしい」と答えた 【スポーツナビ】

――これから新たな幕開けを迎えるBリーグの選手たちに伝えたいことは?

「旅を楽しんで」かな。選手にとっても特別な瞬間だし、情熱を持って、楽しんでプレーしてもらいたいと思う。その中にNBAで通用する選手がいるかもしれないしね。

――バスケが文化に深く根付いている米国と違い、日本におけるバスケはまだまだこれからです。あらためてバスケの魅力を教えてください。

 選手目線でのNBAの素晴らしさは現役だけでなく、引退した後でも、いつまでも「選手」であり続けられることだと思う。自分が愛してやまないことを続けられる機会を持つことができる。

 ファンの視点で言うと、NBAを通して「喜び」を感じられることだと思うよ。特に子供たちの笑顔は今でも忘れられないね。

――NBAが人々を魅了し続ける理由は何だと思いますか?

 昔はピタピタの「短パン」だったね(笑)。冗談はさておき真面目に答えると、NBAがグローバルである点、また選手とファンの距離が近いという点だと思うよ。

――現在はNBAが「グローバル」だとアピールしていますが、あなたがルーキーだった頃の状況は違いましたよね?

 もちろん違ったよ。米国人以外の選手はリーグ全体で7、8人くらいしかいなかったと記憶している。「ゲームへの愛情」はグローバルで共通だと思う。一生懸命練習して、諦めない気持ち、情熱を持ち続けることで、NBA選手になれると世界のみんなが信じていると思う。

 私が現役の頃は、ニュージャージー・ネッツ(現ブルックリン・ネッツ)にドラジェン・ペトロビッチ、(ゴールデンステイト・)ウォリアーズにサルナス・マーシャローニス、若かりしダーク・ノビツキーがダラス・マーベリックスでプレーしていたけれど、彼らを見て世界にはまだまだ実力のある選手がたくさんいるんだと感じた。

 アジア人なら、ヤオ・ミンだね。隣に並んだ姿をみた家族から「あなたは小さいね」と言われたことを鮮明に覚えているよ。(編注:ヤオ・ミンはヒューストン・ロケッツなどでプレーした中国人選手。229センチの長身だった)

――日本人選手と一緒にプレーした経験はないと思いますが、日本人選手に何かアドバイスはありますか?

 ゲームへの情熱を忘れないでほしい。「ダメだ」という周囲の声に振り回されないように、とにかくゲームを楽しむこと。Bリーグは自分の才能を見せるとても良い舞台だと思うよ。

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