輝けなかった日本長距離界の星 大迫傑がリオ惨敗から得た手応え
出場2種目とも目標達成ならず
入賞を目標に掲げていた1万メートル。結果は17位とほろ苦いものだった 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
リオデジャネイロ五輪の陸上競技男子5000メートル予選が現地時間17日(以下同)に行われ、第2組を走った大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)は、13分31秒45の16着となり、日本勢では最上位だったが、全体の28位で敗退した。14日に行われた男子1万メートル決勝では、入賞という高い目標を設定していたが27分51秒94で17位。こちらも目標には届かなかった。
2種目を終え、大迫は「まだ、1万、5000(メートル)を走り切る力がなかった。トータルの力が及ばなかった。もう1本走りたかったのが正直なところ。ただ、悲観的な部分もあるけど、昨年に比べれば今年も成長している。また来年はロンドン(世界陸上選手権)があるので、そこでリベンジしたい」とすぐに次の目標へと気持ちを切り替えていた。
世界選手権の反省は生かされたが……
2種目目となった5000メートルは、終盤まで長い団子状態が続くレースで中団に付けていたが、残り1周のラストスパートが始まると置き去りにされた。レース前には、ラスト600から400メートル、つまりラストスパートが始まる前の段階で着順による予選通過が確定する5位以内につけようと考えていたが、その前の段階で落ちてしまった。
5000メートルで前方の順位をあらかじめ確保しようとしたのは、後方に位置を取ったまま前に出ることができなかった昨年の世界選手権の反省だ。大迫は「最後、ペースが上がるところまでは行けたが、そこで足(に余力)が残っていなかったというのが、正直なところ。勝負どころまで足を溜められなかった」と、スパートの速度よりも、それまでの展開での疲労を敗因に挙げた。
5000メートル、1万メートルの両種目は、激しいペースの上下にスタミナを奪われ過ぎず、ラストの勝負まで粘れなければ上位は望めない。外国人が仕掛けてくる上げ下げへの対応力という日本人が苦手にする部分で力を見せられることは大迫の強みだが、最後にパワーが残っていなければ勝負はさせてもらえない。大会を終えて「この大会で(結果を残して)大きく変われればと思っていたけど、まだ体調がピタッと合わないと難しいのかなと思う」と、突き付けられた課題と向き合った。