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第3戦で気になった木村沙織の使い方
大山加奈がバレー、ブラジル戦を解説
日本はブラジルにストレートで敗れ、通算成績を1勝2敗とした
日本はブラジルにストレートで敗れ、通算成績を1勝2敗とした【写真は共同】

 リオデジャネイロ五輪のバレーボール全日本女子は日本時間11日(以下同)、グループリーグ第3戦となるブラジル戦に臨んだ。日本は開催国で五輪2連覇中のブラジルに対し、セットカウント0−3のストレート負けを喫した。


 今回のブラジル戦の課題はどこにあったのか。13日に対戦するロシア戦のポイントは? 2004年のアテネ五輪に出場し、現在はバレーボール中継の解説などを務める大山加奈さんに語ってもらった。

セッター田代が先発した影響

 今大会初めて、セッターは田代(佳奈美)選手が先発しました。サイドには高めのトスを上げ、ミドルも積極的に使おうという姿勢は出ていましたが、木村(沙織)選手の使い方が少し気になりました。


「ここで木村選手に1本」というところで、意図的なのか、データなのかは分かりませんが、迫田(さおり)選手にトスが偏る。サイドアウト(相手サーブ時の得点)からの攻撃もそうですが、リバウンドでチャンスをつなぎ、レシーブで粘ってつないだラリー中こそ、木村選手は「みんながつないでくれたボールだ」という意識を持って決めてくれる力を持った選手です。


 今日の試合ではハイセットを打つばかりで、「ここは自分に持ってきてほしい」と思う場面でトスが来ない。何とかしたい気持ちを人一倍強く持っているけれど、そのチャンスがもらえない。フラストレーションがたまっているように感じられました。


 ただ、木村選手自身も助走に入る際、セッターが代わったことで迷いが生じているようにも見えました。2人のセッターが同じコンセプトを持っていれば、アタッカーは迷わず助走に入ることができるのですが、これまで宮下(遥)選手が上げていた時と、田代選手が上げる時はタイミングが大きく違う。その結果、木村選手に迷いが生まれ、助走が十分に取りきれていない印象が残りました。


 ディフェンス面でも相手は木村選手を確実に狙ってくるので、守備の負担も大きくなりますが、やはりここ一番というところで、いかに木村選手を良い状態で使えるか。次のロシア戦だけでなく、決勝トーナメントに向けても、早急に取り組まなければならない課題ではないでしょうか。

ブロックも見直しが必要

日本のブロックは効果的に決まらず。見直しが必要だ
日本のブロックは効果的に決まらず。見直しが必要だ【写真:ロイター/アフロ】

 五輪3連覇を狙うブラジル。攻撃力や守備力、個の力や高さはもちろんですが、それ以上に素晴らしかったのは、自チームが攻撃につなげられず、相手にチャンスボールを返さざるを得ない場面で、ラストボールをどこに返すかということが徹底されていたことです。


 攻撃できずにボールを返すことしかできないという状況は、相手にとってはチャンスボールから始まる有利な状況です。その中でいかに、相手を少しでも不利にすることができるか。ブラジルのラストボールはセッターを狙ったり、ミドルブロッカーや迫田選手の前にボールを返すことで助走に入らせず、不十分な状況からの攻撃を確実に仕留める。ブラジルの強さは、こうした一見すると目立たないプレーの端々にも見られました。


 攻撃への参加意識も高く、ミドル、前衛のサイドはもちろん、バックセンターのガライ(フェルナンダ・ロドリゲス)選手とバックライトのシェイラ(・カストロ)選手も同時に攻撃へ入ってくるので、日本はディフェンスが絞れません。特にミドルブロッカーのファビアナ(・クラウジノ)選手への警戒が強く、トスが上がる前からコミットブロックを仕掛けるため、必然的にサイドやバックアタックへのブロック枚数が減ってしまい、相手にとってはプレッシャーがかからない状況で攻撃が展開できる。狙いが当たった時には、荒木(絵里香)選手がキルブロックで得点しましたが、チームとしてのブロック戦術は見えにくく、リスクも生じていたように思います。


 2枚跳んで、ボールに当たってもはじかれてしまうケースも多く、残念ながら日本のブロックはブラジルにとって脅威ではなかったはずです。次の対戦相手であるロシアも、高い打点からの攻撃を武器とするチームなので、ブロックももう一度見直さなければ、また厳しい展開を強いられるのではないでしょうか。

田中夕子

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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