新天地・米国でサッカーを楽しむ川澄 年を重ねて出てきたハングリーな気持ち

菊地慶剛

完全移籍で米国のプロリーグへ

今年6月にシアトル・レインへの完全移籍を発表した川澄(右)。主力として存在感を発揮している 【菊地慶剛】

 川澄奈穂美選手が今年6月に、大学卒業からずっと在籍してきたなでしこリーグINAC神戸の退団と、米国のプロリーグ、NWSLのシアトル・レインへの完全移籍を電撃発表してから1カ月以上が経過した。

 現在はリオデジャネイロ五輪の開催中のためリーグが休止中だが、チーム合流直後の7月2日(現地時間)のボストン・ブレーカーズ戦にフル出場し、2ゴールを挙げる活躍でチームを勝利に導くと、それ以降も4試合連続フル出場を続けるなど、主力選手の一員としてその存在感を発揮している。

 シアトルは2014年にも期間限定移籍ながら所属していたチーム。当時とコーチ陣や主力選手に大きな変更はなく、川澄にとってある意味、古巣に帰ってきたような安心感もあったようだ。

「今回は帰るところがないですけど、(2年前と)あまり変わらないですね。前回も危機感を持ってやっていましたけれど、帰る場所がない割には、今回の方がリラックスしてやれていますね。2度目で顔が知れている仲間というのもありますし、そこはすごくサッカーを楽しんでいるという感じですね」

2年前とは違う一進一退のチーム状態

2年前とは異なるチーム状態だが、川澄は自身の役割をしっかり認識しているようだ 【菊地慶剛】

 2年前に在籍していた当時もリーグ5位タイの9ゴールをマークし、主力として活躍。また当時のチームはダントツの強さを誇り、決勝で敗れたとはいえ、公式戦16勝6分け2敗と1位でプレーオフ進出を決めるほどだった。

 しかし今年は大幅なメンバー変更がないにもかかわらず、ここまで15試合を終えて5勝5分け5敗と10チーム中6位。4チームが進出できるプレーオフ圏内にも入っていない。シーズンが休止に入る直前の数試合でホープ・ソロ選手、メーガン・ラピノー選手の2人が五輪出場のためチームを離れたこともあり、川澄が合流後も2勝1分け2敗と一進一退の状態だ。だが2年ぶりにチームに復帰した川澄なりに、チームがやるべきこと、さらには川澄が求められていることをしっかり認識しているようだ。

「2年前とメンバーはほとんど変わっていないですけれど、1つでもコマが変わってしまうとガラッと変わるのがサッカーなので。そこを今いるメンバーで、どう良くしていくかがすごく大事なことだと思います。

 例えばピノー(ラピノー)だったり、ホープだったり、そういう選手のことを“たられば”で言っても仕方がない。やっぱりああいう選手たちというのは、一緒にやっていてスペシャルだなというのをあらためて感じますけれど、そういうのを誰が出ても遜色ない試合運びをしたいなと思います」

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著者プロフィール

栃木県出身。某業界紙記者を経て1993年に米国へ移りフリーライター活動を開始。95年に野茂英雄氏がドジャース入りをしたことを契機に本格的にスポーツライターの道を歩む。これまでスポーツ紙や通信社の通信員を務め、MLBをはじめNFL、NBA、NHL、MLS、PGA、ウィンタースポーツ等様々な競技を取材する。フルマラソン完走3回の経験を持ち、時折アスリートの自主トレに参加しトレーニングに励む。モットーは「歌って走れるスポーツライター」。Twitter(http://twitter.com/joshkikuchi)も随時更新中。

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