吉田沙保里が歩んできたレスリング道 リオで目指した五輪4連覇の夢

布施鋼治
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リオで五輪4連覇を目指した吉田沙保里 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

 吉田沙保里の夏が終わった。アテネ、北京、ロンドンに続いて金を狙ったが、それは叶わぬ夢と終わった。まさかこんな結末が待ち受けていたとは誰が予想できただろうか。しかし、最後まで金メダルを狙い続けた吉田の挑戦は称賛に値すべきだろう。たとえ金を獲れなくても、吉田はリオの主役だった。ここであらためて吉田の五輪への挑戦を振り返ってみたい。

吉田の存在で変わったレスリングのイメージ

 日本人のレスリングの概念を変えたアスリート──それが吉田沙保里だ。8年前、拙著『吉田沙保里 119連勝の方程式』(新潮社刊)の冒頭を私はこのような書き出しで始めている。

 当たり前のように100連勝を飾ったレスラーがいる。当たり前のように、その後も連勝記録を更新し続けたレスラーがいる。数字だけで想像したら、あなたは筋骨隆々で屈強な男子レスラーを思い浮かべるかもしれない。

 レスリング=男子。少なくとも1980年代半ばまではそれが世間一般の共通した認識だった。レスリングは男のスポーツと見なされていたのだ。女子レスリングといわれたら、女子プロレスを指すのが一般的だった。
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著者プロフィール

1963年7月25日、札幌市出身。得意分野は格闘技。中でもアマチュアレスリング、ムエタイ(キックボクシング)、MMAへの造詣が深い。取材対象に対してはヒット・アンド・アウェイを繰り返す手法で、学生時代から執筆活動を続けている。Numberでは'90年代半ばからSCORE CARDを連載中。2008年7月に上梓した「吉田沙保里 119連勝の方程式」(新潮社)でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。他の著書に「東京12チャンネル運動部の情熱」(集英社)、「格闘技絶対王者列伝」(宝島社)などがある。

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