「サッカーアクション」の質を上げる方法 動きを分解し、トレーニングに生かす

中田徹

育成世代から始めると、より効果的

相良氏は「『サッカーのアクション&ムーブメントトレーニング』は育成世代から始めた方が、より良い効果が得られる」と語る(写真はイメージ) 【Getty Images】

 これまでのトレーニングだと、「サッカーアクション」を出発点としていないので、トレーナーは「ストレングス(強さ)」「スピード」「エンデュランス(持久力)」「フレキシビリティー」「コーディネーション」を出発点として、「筋力を大きくするトレーニング」「筋力を発揮させるスピードアップのためのトレーニング」などから、メニューを選んでいた。そして「あの選手にはスクワットをやらせておこう」と指示を出し、筋力のアップが確認できればそれで終わりだった。

 しかし、「サッカーのアクション&ムーブメントトレーニング」は「サッカーアクション」の向上がゴールなので、例えば「プレスの質が上がった」「シュートが強く打てるようになった」「ヘディングの競り合いでのジャンプの質が上がり、着地も安定するようになった」ということが確認されて、初めてOKとなる。つまり、「サッカーアクション」→「ベーシックアクション」→「ベーシックムーブメント」まで落とし込まれてトレーニングされたことは、再び「ベーシックムーブメント」→「ベーシックアクション」→「サッカーアクション」とチェックを重ねて“サッカー”という本質へ戻っていくのだ。

 相良は「サッカーのアクション&ムーブメントトレーニング」のメソッドを知った時、「これは育成でも利用できるから良いな」と思ったという。

「『サッカーのアクション&ムーブメントトレーニング』の前提は『筋力を付けること』ではなく、『正しい動き方をすること』、そして『サッカーアクション』を改善することです。『サッカーに特化した動きの習得』という要素がありますから、育成世代から始めた方が、より高い効果が得られると思います。

 子供は筋トレで肉を付けることができませんが、『サッカーのアクション&ムーブメントトレーニング』をすることによって、いろんな動きを習得することができ、18歳、19歳になって本格的な筋力トレーニングを始めた時に、効率よく筋肉をつけることができます。第二次成長期を迎えた選手も『サッカーのアクション&ムーブメントトレーニング』ならやることができます。成長期痛を抑える効果もあります。これまで第二時成長期の選手は、練習を休ませるしかなかったんです。

 障害予防という点でも効果があります。選手は筋力がないからけがをするのではなく、けがをしやすい動きのパターンを身に付けてしまっているからけがをしやすくなるわけです。その動きのパターンの矯正にも最適ですね」(相良)

 これまでコンディショニングトレーナーとしてクラブに所属していたアンディ・バルだが、今はこのメソッドのインストラクターとして「サッカーのアクション&ムーブメントトレーニング」の普及と進化に務めている。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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