過去最大級の注目となるUFCの祭典
ライトヘビー頂上対決、レスナー、五味も参戦

PPV購入者最高記録なるか!?

UFC過去最大級のビッグイベント「UFC 200」が開催!
UFC過去最大級のビッグイベント「UFC 200」が開催!【Zuffa LLC】

 さかのぼること7年前、2009年7月11日(米国時間)、UFCはラスベガスで通称“ナンバーシリーズ”と呼ばれるペイ・パー・ビュー(PPV)イベントの記念大会「UFC 100」を開催した。PPVの購入者は実に160万人以上を数え、以降、ファン必見の好カードが組まれた数多の大会が催されてきたが、「UFC 100」の記録を超えるイベントはなく、今なお史上最多の記録を保持している。


 とはいえ、この記録はそう遠くない未来に破られるかもしれない。日本時間(以下、同)2016年7月10日(日)、ラスベガスに新設されたT−MobileアリーナでUFCのPPVイベントが第200回の大台に乗るのだ。当然ながら、新記録樹立の期待が高まる理由はそれだけではない。一番の目玉と呼べる対決が複数あることも一因だろう。暫定王座決定戦を含めたタイトルマッチが3試合、かつての王者を合わせればチャンピオン経験者が9名も出場する。


 それだけにとどまらない。K−1グランプリ王者(マーク・ハント)にPRIDEチャンピオン(五味隆典)、Strikeforceで頂点に立った者(ミーシャ・テイト、ゲガール・ムサシ)、そしてWEC王者経験者(ジョゼ・アルド)が顔を揃えるのだから豪華さは史上最高とも言えよう。


 そして、6月にカリフォルニアで開催された「UFC 199」の大会中に世界に衝撃を与えたブロック・レスナーのオクタゴン復帰がついに実現することもファンの興奮をかき立てている。

3日間で3大会を開催

 レスナーといえば、「UFC 100」のメインイベントでフランク・ミアとのヘビー級王座統一戦に挑み、見事、チャンピオンベルトを手中に収めたことでも知られる。レスナー同様に「UFC 100」に参戦し、かつ今度の「UFC 200」にも出場を果たす選手はほかに2名、ジョン・ジョーンズ()とジム・ミラーがいる。


 7月5日(火)に幕を開けるUFCの祭典、「インターナショナル・ファイトウイーク」ではビッグイベントが3日連続で催される。8日(金)にはハファエル・ドス・アンジョス対エディ・アルバレスのライト級タイトルマッチがメインイベントに組まれた「UFCファイトナイト・ラスベガス」、翌9日には女子ストロー級王者ヨアンナ・イェンドジェイチェクと同ランキング1位のクラウディア・ガデーリャがコーチを務めた「ジ・アルティメット・ファイター(TUF)23シーズンフィナーレ」がMGMグランド・ガーデン・アリーナで開かれ、トリを務めるのは最高潮の盛り上がりを見せるであろう「UFC 200」だ。


 日本ではいずれの大会もインターネットテレビ局『AbemaTV(アベマティーヴィー)』と日本最大級の動画サービス『niconico』の“ニコニコ生放送”にて全試合が完全生中継されることになっている。


ジョン・ジョーンズは現地時間6日、アンチ・ドーピング規則違反の可能性が認められ大会を欠場。コーミエとのタイトルマッチは中止になると決定した

宿敵ジョーンズと対戦するコーミエ

祭典の大トリを務めるのがジョーンズvs.コーミエ
祭典の大トリを務めるのがジョーンズvs.コーミエ【Getty Images】

「間違いなくクールな節目」と語るジョーンズは当初、この大会に出る予定がなかった。もともと4月の「UFC 197」でダニエル・コーミエとライトヘビー級タイトルをかけて激突するはずだったが、コーミエが負傷してしまい、いったんは対戦が白紙に戻る。代わりにオヴィンス・サン・プルーと拳を合わせたジョーンズは復帰戦を白星で飾り、暫定王者として「UFC 200」でコーミエと対決することになった。


 ジョーンズ出場について考えてみると、2009年7月の「UFC 100」以来、ジョーンズだけでなく、このスポーツ自体がどれほど大きく変化してきたことが分かる。当時、未来のライトヘビー級チャンピオン候補であり、史上最強の選手の1人だともっぱらだったジョーンズもUFC参戦からまだ3戦目、試合順も前座のトリですらなかった。それでも、スター候補生として期待感の重圧を感じていたというジョーンズは「プレッシャーがすごかった」と明かす。


「この試合の前にステファン・ボナーと戦い、強い勝ち方をした。そのおかげで若くして有名になり、期待値も大きく高まった。誰もが、次はオレがベルトを獲るのではないかと指摘し、MMAの世界で注目を集めることになる。そんな状況での『UFC 100』だったので、前回のような強い勝ち方をしなければ、という重圧がとても大きかったんだ」


 そしてジョーンズは期待に応えてみせる。22歳の誕生日を8日後に控えたジョーンズは、オブライエンに第2ラウンド、サブミッション勝利を挙げたのだった。そこから2年もたたないうちに、ジョーンズは世界タイトルを獲得している。


 それから7度の防衛を果たしたジョーンズに初めてコーミエが挑んだのは2015年1月の「UFC 182」。ジョーンズとの前回の対決をコーミエはこう振り返る。


「前回対決した時はお互いの敵意が半端じゃなかった」


 一方のジョーンズも「試合前は子供みたいな態度をとっていた。全力で戦う理由にはなったけどね」とコメントしている。前回の対戦直後にオクタゴン上で行われたインタビューでも「DC(コーミエ)がとにかく嫌いなんだ」とコーミエに対する気持ちをあらわにしていた。


 初対決から1年以上が経ち、2人の人生は大きく変化した。ジョーンズはベルトを剥奪され、コーミエは「UFC 187」でアンソニー・ジョンソンを倒して王座を手に入れている。


「UFC 197」での復帰戦前、ジョーンズは「去年は(タイトル剥奪の理由となった)事故があって、正直、オレの人生は終わったと思った。ここに帰ってくるために必死だったんだ」と語った。サン・プルーとの試合に勝利し、暫定ライトヘビー級王者に輝いたジョーンズは「これは本物のベルトじゃない、本物を取り戻してやる」と宣言。


 ジョーンズ以外の強敵を倒してきたコーミエにとって、ジョンソンやグスタフソンを下したことは王者としての実力を証明することに繋がっただろう。前回の対決でコーミエには自信が欠けていたが、チャンピオンとして挑む今回のコーミエは自信にあふれている。ひとつだけ確かなのは、今のコーミエが1年前のコーミエとは違うことだ。


「ジョーンズはもう無敵じゃない。アイツにまた負けるなんてゴメンだ」とコーミエは言い切る。

野獣レスナーとサモアの怪人ハントの攻防

レスナーが再びオクタゴンに。対戦相手はマーク・ハント
レスナーが再びオクタゴンに。対戦相手はマーク・ハント【Getty Images】

「『UFC 200』はオレの復帰にふさわしい大会だ」とレスナーは言う。UFC解説者のジョー・ローガンが、レスナーの対戦相手にマーク・ハントが選ばれたことについて「完璧な組み合わせだ」と語れば、ハント本人も「(レスナーは)引退したと思っていたけど、良い対戦だなと思ったよ」と打ち明けている。


 大腸憩室炎(けいしつえん)が原因となりオクタゴンから退くことを余儀なくされたレスナーは、2011年のアリスター・オーフレイム戦以来の試合となる。「自分の中の真のコンペティターはまだくすぶっている。だからやるしかない」と熱意を胸にオクタゴンへと舞い戻るレスナー。


 対するのはノックアウトアーティストと称されるハントだが、レスナーは復帰戦の相手は「誰でもよかった。オレは気にしない。それくらい単純なこと。UFCの試合は一度も断ったことがない。(ハントと)しっかり戦えると思う。ハントを相手にグラウンドを取れれば勝負ありだ。もちろん、スタンドでの戦いも対応していかなきゃいけないけど、興奮するしワクワクするね。それが違いだ」とコメントしている。


 NCAA(全米大学体育協会)ディビジョン1のフリースタイルレスリング選手権で王者に輝き、WWEでの活躍が世界的な人気を呼んだレスナーは2007年に総合格闘技の世界に飛び込むと、2008年にはUFCデビューを果たし、元世界王者のフランク・ミアと対戦。「UFC 81」のミア戦は敗れたものの、次の4試合では見事に勝利を収め、ランディ・クートゥアとのタイトルマッチを制してUFCヘビー級チャンピオンの称号を獲得。さらに「UFC 100」ではミアと再戦して白星を飾り、2010年のシェイン・カーウィン戦も見事なサブミッション勝利を挙げた。


 ただ、現役生活を続ける中でレスナーにとって最大の敵となったのが憩室炎だ。ケイン・ヴェラスケスに敗れて王座陥落を喫した後、さらにアリスター・オーフレイムにも敗れたレスナーは2011年にUFCを引退した。


 それでも「あの決断は受け入れられなかった。(引退を)決めるのは本当に難しかったし、随分と悩んだ。一生、あの決断を受け入れられなかっただろうと思う。夢を持って生き、恐れに立ち向かうことが大事だと信じているだけに、自分の望まない現実とこれから先20年も向き合っていくなんて。“思い通りに、やるべきことをやれ”と思って、今ここにいる」とも語ったレスナー。


 UFCから身を引いた後、レスナーはWWEに復帰し、プロレス界で最も高い人気を誇るコンペティターの1人として活躍してきた。しかしながら、再びオクタゴンに上り、100%の全力闘球でやり残した仕事を果たしたい思いがずっとくすぶっていたのだ。そして、2016年7月、そのチャンスを得る。


「キャリアの絶頂期に最高の状態じゃなかったから、UFCでのキャリアは何かごまかされたような気持ちがあった。自分としては対戦相手に一度も負けたつもりはない。ただ、憩室炎に負けた。あいつ(憩室炎)に打ち負かされたんだ」


 世界中が熱視線を送る「UFC 200」のセミメインイベントで全力を尽くして勝ちにいくという2人。ハントが「ノックアウトしてしまえばそれまでだ」とコメントすれば、一方のレスナーは「とにかく今はオクタゴンに上がって試合することが楽しみ」と述べている。

「主役の座は譲らない」

悲願のベルトを巻いたミーシャ・テイト。最初の防衛戦の相手はアマンダ・ヌネス
悲願のベルトを巻いたミーシャ・テイト。最初の防衛戦の相手はアマンダ・ヌネス【Getty Images】

 メインイベントとセミメインイベントの前、メインカードのトリを飾るのが女子バンタム級タイトルマッチ。『Strikeforce』で女王に輝きながらもロンダ・ラウジーの登場で王座を奪われ、UFC参戦後もなかなか頂点にたどり着けなかったミーシャ・テイトが「UFC 196」でホリー・ホルムを打ち負かし、ついに悲願のチャンピオンベルトを巻いた。


 ボクシング時代に世界3階級制覇を成し遂げたホルムはその功績を引っさげて世界最高峰の総合格闘技界に転身。参戦からわずか3戦目にしてラウジーとのタイトル挑戦権を得ると、華麗なるKO勝利で王座を手中に収めている。2016年3月に挑んだ初の防衛戦の相手がテイトだ。終始、圧倒するパフォーマンスを見せたが、一瞬のチャンスを狙っていたテイトが最終ラウンドでリアネイキドチョークを決めて一本勝ちした。


「UFC 200」に先だって開かれた記者会見で「ホリー(ホルム)を倒してチャンピオンになる約束を果たした」と胸を張ったテイトは次なる敵、アマンダ・ヌネスについて「柔道や柔術の黒帯を持っていて、9戦中8戦を第1ラウンドで決めている。完璧な相手。どんなことがあっても諦めないファイターよ」と分析しつつも、試合展開がどうなろうと必ずフィニッシュして勝利をもぎ取ると宣言。


 対するヌネスも「私が主役になる番」と意気込む。


 これまで“戦士は語らず、行動で示せ”をモットーに、女子バンタム級トップ5のポジションを維持し続け、最近2試合でも快勝した根気と運を武器にタイトル挑戦の時をひたすらに待ち続けてきたヌネス。


「きっとそのうち流れが来ると信じていたわ。そうしたら、ロンダとホリーが負けた。あとは忍耐強くいるだけ。いずれきっとお呼びがかかると分かっていた。今度は私の番。絶対チャンピオンになってみせる」


 王者に輝くためには多少の調整が必要となることをヌネスは理解している。前回のワレンチナ・シェフチェンコとの試合はユナニマス判定で勝利しているものの、ラウンドを重ねるにつれてペースが落ち、激しく批判を受けた。基本的に2ラウンド目までに試合を決めることが多いヌネスのパフォーマンスが低下したのは疲労が要因だと考える者が多かったものの、ヌネス本人は開催地ラスベガスの乾燥した空気が原因だったと主張する。今回のタイトルマッチもMMAのメッカであるラスベガスが舞台とあって、ヌネスは乾燥対策を講じるために早めに現地入りすると明かしている。


 待望のチャンス到来とあって、ヌネスは「ベルト獲得のために戦うだけ。アンダードッグであろうと、必ずベルトをものにする。ベルトを腰に巻くことだけが重要。相手が誰であろうと、場所がどこであろうが、私が欲しいのはあのベルトだけ」と意気込みを語った。

リベンジを果たしたいアルド

マクレガー戦の衝撃の敗戦からジョゼ・アルドは復活できるか
マクレガー戦の衝撃の敗戦からジョゼ・アルドは復活できるか【Getty Images】

 ライトヘビー級王座統一戦、女子バンタム級タイトルマッチに加えて今大会にはもうひとつ、王座をかけた戦いがある。


 長らく絶対王者として君臨し続けながらも、2016年1月に臨んだコナー・マクレガー戦で、第1ラウンドのわずか13秒でノックアウト負けを喫して王座陥落を味わったジョゼ・アルドが、2度目の対決となるフランキー・エドガーを相手にフェザー級暫定王者決定戦に挑む。


「全てが順調だった。あの屈辱を味わうまでは」とマクレガー戦を振り返るアルドは「1歩下がって、3歩前進する。だから負けたことは良いことなんだと思っている。オレは王者になるために生まれてきた。もう一度必ずチャンピオンになる」とも明かす。


「とにかくヤツ(マクレガー)に負けたのがつらい。あの野郎だけには負けたくなかった」


 この一戦の勝者には統一王座をかけてマクレガーと戦うチャンスが与えられるため、マクレガーにリベンジを果たしたいアルドは力が入るところだが、問題となるのはエドガーが着実に実力を上げていること。


 UFC解説者のローガンは「B.J.ペンとの(ライト級)タイトル戦に勝利した時よりも、フェザー級タイトルをかけてアルドと初めて対戦した時よりも、エドガーは確実に力をつけている。カブ・スワンソン戦の見事な勝利や、技術力で圧倒したユライア・フェイバー戦、チャド・メンデスをKOで下した試合などを見れば分かるだろう。エドガーはパウンド・フォー・パウンドで言えば世界最強の1人といえる」と述べた。


 3年前の対戦時、「アルドは全盛期だった」と振り返るエドガーいわく、「今はオレの方が波に乗っている」という。「今最高の状態だ。ここ最近5試合で確実に最高の状態に近づくことができた。アルドを倒してオレがフェザー級最強だってことを証明してやる」


 絶対に負けられないアルドは「オレの方が素早く、破壊力がある。オレはエドガーよりも優れたファイターだし、いつどこで試合をしようと関係ない。昔の自分に戻ったような気分だ。昔のオレは良かった。昔みたいに試合をする。自分の持つすべてを捧げて勝ちにいく」と主張した。


 王者マクレガーへの挑戦権をかけた元フェザー級王者同士の対決は見逃せない。

生き残りをかけ、必勝を誓う五味

五味隆典は生き残りをかけた戦いへ臨む
五味隆典は生き残りをかけた戦いへ臨む【Getty Images】

 華々しい「UFC 200」は第1試合から好カードが用意された。「UFC 100」に出場したジム・ミラーと元PRIDE王者の五味隆典が初対戦を果たす。


“火の玉ボーイ”こと五味は「格闘技がオレの人生であり、仕事」と断言するように、オクタゴンの上で力を発揮することだけに集中して取り組んできた。これまでのキャリアで47試合を戦って35勝(11敗、1ノーコンテスト)を記録してきた五味の統計を見ると、有効打撃精度が41%、1分あたりの有効打撃数は3.89回を誇り、有効打撃防御の精度は65%だ。


 ブラジリアン柔術黒帯を持つミラーは通算25勝8敗1ノーコンテストの戦績を引っさげて「UFC 200」の大舞台へと上がる。


 五味は大会前のインタビューで、「(『UFC200』に出場できるところまで)ようやく来られた」と語っていたように、昨年、ジョー・ローゾンにTKO負けを喫して以来の試合が決まったことで、ボクシング選手らに混ざって走り込みに励むなど根本に立ち戻ったトレーニングをスタートさせている。足腰から身体を作り上げている五味の闘争心は相当なもので、今年38歳になる“火の玉ボーイ”は、すべてを掛けてこの試合に挑むことだろう。


 ミラーと五味は戦い方も似ており、KOを狙った激しい打ち合い、そしてグラウンドでもサブミッションを狙った攻防が繰り広げられるはずだ。さらに、どちらも過去4戦は1勝3敗と負けこんでおり、貪欲(どんよく)に勝ちを狙ってくることが予想される。「UFC 200」は1試合目から見逃せない激戦になるに違いない。

(c) Zuffa, LLC

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