関塚監督が見た手倉森ジャパン 「初戦でナイジェリアを一蹴してほしい」

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リオ五輪に臨む18名が発表された手倉森ジャパン。前回大会で指揮を執った関塚監督は「初戦でナイジェリアを一蹴してほしい」と期待を寄せた 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 日本サッカー協会は7月1日、都内で記者会見を行い、現地時間8月5日に開幕するリオデジャネイロ五輪に参加するU−23日本代表メンバー18名を発表した(男子サッカーは4日に開始)。

 リオ五輪アジア最終予選兼AFC U−23選手権で主力としてプレーした遠藤航(浦和)、植田直通(鹿島)らが順当に選出され、オーバーエイジ枠では興梠慎三(浦和)、塩谷司(広島)、藤春廣輝(G大阪)がメンバー入り。海外組では、南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)と久保裕也(ヤングボーイズ/スイス)が選出されている。

 また、6月29日のU−23南アフリカ戦で故障から復帰した中島翔哉と室屋成(共にFC東京)、5月のトゥーロン国際で左膝を負傷し、リハビリを続けている岩波拓也(神戸)もメンバーに滑り込んだ。
 前回のロンドン五輪でU−23日本代表を率い、チームを44年ぶりのベスト4に導いた関塚隆氏(現ジェフユナイテッド市原・千葉監督)に、発表されたリオ五輪メンバー18名について話を聞いた。

頼もしい選手がどこのポジションにもいる

塩谷(左)らOAに関して、「必要な戦力を加えた印象」と関塚監督 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

――発表されたリオ五輪のメンバーを見ての感想は?

 1月のアジア最終予選のメンバーが主力で、それ以降の新しいメンバーはオーバーエイジ(OA)以外はいなかったな、というのが最初の印象です。OAの3人が融合して、新たな手倉森ジャパンで初戦でナイジェリアを一蹴して勝ってもらいたいですね。

 基本的にはアジア最終予選の自分たちの戦いをベースにメンバーを考えていると思います。手倉森ジャパンのメンバーで一番やれることを考えての選考だと思います。

――手倉森監督はメンバー選考に迷っていた印象? それとも腹の中では決まっていた印象?

 それはもう最後までけが人の状況もあると思いますし、ぎりぎりの選択と決断をしたと思います。一度決めてしまえばもう進むだけですが、その前は最後まで、今日の発表まで迷われたと思いますよ。

――ロンドン五輪の時も、直前まで迷った?

 悩みましたねー(笑)。本当に発表当日の朝まで悩んでいました。いろいろな試合のシチュエーションを考えて……。われわれの時の予選はセントラル方式ではなかったので、試合ごとにその都度メンバーを選びました。大会を通してというのは、優勝したアジア大会とトゥーロンの2つしかなかったです。1つの大会を乗り切る18名の選択ということに関しては、非常に悩みました。

 今回は、アジア大会、セントラル方式のAFC U−23選手権、1月の最終予選、トゥーロンがあり、おそらく本大会が5回目の大会になると思います。こういう大会へのチームの持っていき方というのは、手倉森監督は本当に素晴らしいなと感じます。1つの大会に向けてチームをまとめ上げて、乗り切る力。これだというのを決めて、OAを含めてメンバーの選考をしている。私の時は「これでチームになるかな?」という迷いがあったが、手倉森監督は大枠のところで(大会ごとにチームを)分けて考えていたんじゃないかなと思います。

――今回のメンバーで注目している選手は?

 これからA代表につながっていくような頼もしい選手がどこのポジションにも何人かいます。ここであえて名前を挙げるのではなくて、このメンバーがどれぐらいやってくれるか。ナイジェリア、コロンビア、スウェーデン相手にどれだけやるのかなという期待を感じています。

――藤春廣輝、塩谷司、興梠慎三といったOAの顔ぶれを見ての印象は?

 手倉森監督が考えるアジア予選での自分たちの戦いをベースに、それをさらにパワーアップというか、必要な戦力を加えた印象です。層が薄いところに3人を持ってきたという印象ですね。

――ジェフ千葉に所属しているオナイウ阿道が外れてしまったが?

 非常に残念に思います。彼自身も悔しさはあったと思います。これをバネにまた大きく成長してもらいたいと思います。今まだクラブハウスにもいましたので、発表があってから少し話はしました。

18人に削るためには決断せざるを得ない

――23名ではなく18名のメンバーを考える難しさはどこにあるのか?

 23人というのはGK3人プラス各ポジションで2人ずつを選べますが、18人に削るとなると、ゲームプランの中での可能性を探りながら絞っていくことになる。それは非常に難しい作業でした。普段Jリーグでも18名でやっていますが、大会を通して18名でということになると、それだけゲームプランやシチュエーションを考えながら絞っていかなければいけません。

――そういったときに、選手のユーティリティー性なども重要になってくる?

 ロンドンの時も、初戦のスペイン戦で酒井宏樹が負傷したり、決勝トーナメントのエジプト戦で永井謙佑が負傷したりしました。そういったけがのことなどを考えたときに、ボランチとサイドバックができるとか、ボランチとセンターバック(CB)ができるとか、ユーティリティー性というのは何人かには必要になってくると思います。

――ロンドンの時は原口元気や大迫勇也などが直前でメンバーから外れました。今回も予選では主力として活躍していた野津田岳人や鈴木武蔵といったメンバーが選考外となってしまったが、こういった選手を外す監督の心境は?

 それはやはり世界で戦うに当たって、彼らとも一緒に戦いたいという思いはありました。チームがどういうふうに戦うかを考え、決断をせざるを得なかった。アジアの最終予選で戦ってきた中で、ディフェンスの濱田(水輝)や比嘉(祐介)、原口、大迫をどうしても加えることができなかったというのが当時の私の決断でした。

 この4選手は本当に迷いましたね。ただ、比嘉や濱田はOAを使ったポジションで、CBの3枠の中で誰を残すかというところだった。五輪代表はチームを作る難しさと、結果を残さなければいけないこと、そして各選手がA代表へとつながっていくということを考えながらメンバーを考えなくてはいけない。何が欠けていたということではなく、トータル的に考えて判断しましたね。

――そういった選手とは事前に言葉をかわしたりするのか?

 早いうちにメンバーが分かってしまうので、会話をしたりとかはまったくなかったですね。五輪が終わった後にクラブにあいさつに行ったときに、そういった選手たちと言葉をかわしました。当時は、「みんなのおかげで頑張ってきた。ベスト4でメダルには届かなかったけれども、やはりこれもみんなが一緒に戦ってくれたおかげ」というような感謝の言葉は伝えましたね。あとは「これをバネにして、また成長してほしい」ということも話しました。

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