関塚監督が見た手倉森ジャパン 「初戦でナイジェリアを一蹴してほしい」

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トゥーロンが終わってからOA枠を使いたいと考えた

OAについては「トゥーロンが終わってから使いたいと考えた」と4年前を振り返った関塚監督 【写真:ロイター/アフロ】

――OAというのはどのタイミングから考え出すものなのか?

 私の時は3月にアジア予選を突破して、4月に入ってすぐにどうするかと考えましたね。でも実際に使いたいという決断を出したのはトゥーロン国際大会以降でした。アジアのレベルというのが、アジア予選を戦って世界の五輪で戦う実力にどうしても戦い方がつながらない。どちらかというと日本はアジアの中でリスペクトをされていて有利にボールを回すことができるサッカーですが、トゥーロンに行ったらそれが五分五分、あるいは押された状況の中から戦いが始まる。そういう時間帯が長い中でどうゲームを進めていくか、アジアの予選では味わえないようなゲームシチュエーションの中でゲームに入っていったというのが当時のトゥーロンでした。ヨーロッパ予選で負けて五輪に出場しなかったトルコやオランダと対戦した時です。オランダに勝ちはしましたが(3−2)、そういった戦いになったことはすごく印象深くて、OAを使いたいと考えました。当時のオランダはアヤックスで4番手の選手(ジョディ・ルコキ)が右ウイングにいて、すごく速くてチームとして対応できなかったというのが非常に印象に残っています。

――ロンドンの時はOA枠で3人を使わずに、林彰洋をバックアップメンバーに持ってきた。3人フルに使わなかった理由は?

 当時、権田修一が正GKでした。ただ権田がもしけがをした場合、他のメンバーで試合に関わっているメンバーが1人もいなかった。当時は清水(エスパルス)と林君にお願いして、「悪いけれど五輪メンバーではない」と話しながら、権田がけがした場合は正GKというかゴールを守ってもらうという条件でバックアップメンバーをお願いしました。林君と権田を競らせようとは思っていなかったですし、権田をまずはA代表につながる世界の経験をさせたいという思いがあった。あえて試合には全然関わっていないGKをセカンドに入れていましたね。

――ロンドンのOAは徳永悠平、吉田麻也だったが、チームへの影響力はどのようなものがあった?

 2人とも五輪経験者だった。本大会は中2日でグループリーグを戦うが、予選敗退だとあっという間に大会が終わってしまう。そういう状況を彼らは非常に理解していたので、高いテンションで自分たちの役割を把握しながらチームに融合してくれたと思います。やはり意識の部分が大きかったですね。初戦で結果が出ないと、そのあとのリカバリーが大変になってしまうので。

 今回の3名もOAで出場するということはどういうことかを手倉森監督とも話していると思います。アジアの予選で戦ったチームに自分たちが加わって、チーム力をアップしてグループリーグを勝ち抜いてメダルに近づくための役割を期待したいですね。

自分たちの戦いをいかにやるか

――予選と本大会とではレベルやプレッシャーなどが全く違い、チームの戦い方も変わってくると思う。最終予選と本大会のギャップがある中で、本大会へ向けたチーム作りで意識したことはあったか?

 自分たちの戦いをいかにやるかということですね。どのようなチーム作りをしてきても、相手にボールを持たれた時はどうしても守備から入らなければいけないと思う。ロンドンの時は、しっかりとボールを持って動かせる時間帯は、アジアで戦ってきた戦い方をできていたと思う。韓国との3位決定戦は、相手もメダルを取るために必死で、われわれにボールを持たせながら一気に背後を狙ってきた。そういう戦い方の中でどうしていくのか、ということだと思います。

 出場を決めてから本大会までにチームを成長させる準備期間はなかなか持つことができませんので、予選を通して作り上げてきたチームの戦い方は非常に重要になってきます。選手個人に関してはJリーグや所属チームの練習で成長していってもらい、それを集めたときにどういう戦い方をして結果に結び付けていくかというところだと思います。

――これから本大会に向けて、プレッシャーは相当なものになっていく?

 逆にプレッシャーがかかったという意味では、アジア予選の方が大きかったですね。なんとしてでも突破しなければいけないという気持ちがチーム全体にありました。五輪本大会はチャレンジというか、チャレンジャーの気持ちでわれわれの戦い方がどこまで通用するかという気持ちでやっていました。そういう意味では、すべてにおいて前向きにとらえながら準備していましたね。4年前の私は、晴れやかな気持ちで初戦のスペインに対してどう戦おうかと考えながら準備することができていたと思います。

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