ロッテに勝利を呼び込む鉄壁リリーフ陣 伊東監督は故郷・熊本へ「勇気を与えたい」

千葉ロッテマリーンズ

「第2先発」の役割を担う藤岡

伊東監督が「第2先発」と絶大な信頼を寄せる藤岡 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

 藤岡は2011年のドラフト1位で東洋大から入団。即戦力の左腕として期待され、14年までは主に先発を務めていた。しかし、14年は27試合(うち21試合が先発)で6勝10敗、防御率4.48と思うような結果が出なかった。15年からは主にリリーフを務めるようになる。31試合の登板のうち、リリーフが28試合。その28試合では40回2/3を投げ、2勝0敗6ホールド、防御率2.21という実績を残した。

 そして、今季はすべてリリーフで登板し、チームの勝利に貢献。藤岡本人は先発へのこだわりを捨てておらず、伊東監督も「本来なら先発陣に入れたい」としている。それでもリリーフとして起用するのは、「リリーフ陣には他に左腕が松永しかいないし、藤岡には体力があり、連投ができるから」と明かす。

 何より伊東監督は、藤岡の役割を「第2先発」と位置付け、絶大な信頼を寄せている。

「彼は先発投手が序盤で崩れたとき、ロングリリーフができる。藤岡が2、3回を抑えているうちに、味方が『行ける』という雰囲気になる。相手の流れを食い止め、味方にチャンスを呼び込む役目をしてくれていますね」

ここからの戦いのカギは先発陣

4月14日から伊東監督の故郷を襲う熊本地震。伊東監督は「野球人として野球を通じて勇気を与えたい」と表情を引き締める 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

 首位のソフトバンクとのゲーム差は4。指揮官は、追撃のカギとして先発陣を挙げる。
「ここまでは小林雅英投手コーチがブルペン陣にあまり無理をさせないよう、考えながらやってくれている。ここからは疲れも出てくる時期。先発陣がなんとか1イニングでも長く投げるのが理想ですね」

 ここまでの先発陣の防御率は3.97でリーグ4位。QS(先発投手が6回以上投げて3失点以内に抑えること)の達成率は60.5%でリーグ3位だ。

 エースの涌井秀章は8試合で5勝0敗、防御率3.11、QS率75%、石川歩は5試合で2勝2敗、防御率1.49、QS率100%、今季から加入したスタンリッジは7試合で2勝3敗だが、防御率は2.08、QS率85.7%。

 先発3本柱は安定した投球を続けているだけに、4本目、5本目の柱がしっかり作れるかどうかが、ポイントになりそうだ。「やっぱり野球は投手だと思う。先発がどれだけゲームを作ってくれるか、ですね」と指揮官は期待する。

ファンから伊東監督へ励ましの声

「これからの戦いでは、3連戦の頭の試合を取って抜け出したい」と伊東監督。その胸の内には、「故郷のみなさんにロッテが頑張っている姿を見せたい」という気持ちがある。

 4月14日。伊東監督の故郷である熊本県で、甚大な被害をもたらす地震が発生した。1カ月近くが経過した今もたびたび余震があり、多くの方々が困難な生活を強いられている。

 熊本市内にある伊東監督の実家は、震度7を観測した益城町から車で20〜30分の距離にある。熊本のシンボルである熊本城の城壁が崩れるなど、自分が知る場所の変わり果てた姿をテレビのニュースで見て、胸を痛めたという。

「ショックの方が先にきて、最初は正直、『野球で元気や勇気を与えよう』という気持ちにはなれませんでした」

 そんな伊東監督を、ファンが励ました。4月19日の福岡ソフトバンク戦(QVCマリン)の試合前、球場の正面入り口で熊本地震の復興支援のための募金活動をおこなったときのことだ。

「ファンの方から、『頑張ってくれ』と声をかけていただいた。その言葉が胸に突き刺さり、いろいろな思いが出てきて、涙を流してしまいました」
 
 その後、被災した方々から「ロッテが頑張っている姿、伊東監督が頑張っている姿が励みになる」という声がたくさん届いたという。

 伊東監督は、引き締まった表情で思いを語った。

「今は野球人として、野球を通じて勇気を与えたい」

 5月9日、伊東監督は熊本の実家へ帰省して、家族と再会。その思いを一層強くして、これからの戦いに臨もうとしている。

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