巨人軍に「求められた」IT活用法は? 『ジャイアンツハッカソン』レポート

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「まだできることはある」

2日間の開発終了後に行われたプレゼン。徹夜で開発したチームも複数いた 【スポーツナビ】

 各グループの企画案が出そろうと、一定の傾向が見えた。配球データを活用した光るトートバッグ、LINEBOTを活用した選手と会話ができるアプリ、試合の状況に合わせてマスコットの表情が変化するアプリ……。これらはいずれも女性をターゲットにしたものだった。巨人のファンクラブの会員数、ウェブサイトの訪問者ともにおよそ男性7:女性3の割合で、この女性の比率を伸ばすことは、さらなるファン増加に欠かせないものである。

 当然、巨人も施策を打っている。関東に本拠地を置く他の4球団と共同事業として、『野球女子“倍増”PROJECT』を展開しているほか、一部主催試合では『Girls' Giants Seat』と呼ばれる女性専用席を設置。チケット購入者への特典を用意するなど、女性客の取り込みを図っている。だが、この時間は関係者たちに「まだ巨人としてできることは残っている」と感じさせるものだった。

ターゲットが明確な企画の勝利

最終プレゼンに進んだ5チームと参加者たち 【スポーツナビ】

 2日間の開発後に行われたプレゼンを経て、13組の参加チームが5チームに絞られた。最終発表は4月27日、東京・大手町の読売新聞社で開催。会場には選ばれた5チームに加え、巨人軍、読売新聞社関係者、取材メディアも多数訪れた。

 各チームとも前回出たアイデアを磨き上げて最終プレゼンに臨んだ。縦5列×横5列の合計25分割した配球図をLEDで表示させるトートバック、LINEBOTを活用して選手の魅力を向上させる施策、球場に設置した野球盤を活用した予想ゲーム、振動センサーを入れたリストバンドを使って盛り上がりを可視化するカウンター、スポーツ新聞の紙面データによるコンシェルジュサービスが発表される。

 20分ほどの審査を終えて、結果発表。最優秀チームとして名前を呼ばれたのはLINEBOTを企画したチームPAAKだった。「ターゲットが明確だった」と、女性をターゲットに、選手を身近に感じてもらえる企画は、女性ファン獲得という課題を持っている上野氏をはじめとする巨人関係者や審査員たちの心に響いた。

 審査員も務めた上野氏は「新しいものを生み出すには情報力、発想力、技術力が伴わなければいけないと感じた」と、今回の収穫を振り返る。『ジャイアンツハッカソン』で生まれた企画がどのような形でファンに届けられるのか注目したい。

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