巨人軍に「求められた」IT活用法は? 『ジャイアンツハッカソン』レポート
YGマークが目立つハッカソン
巨人ファンの参加者も多く、ユニホーム姿で開発を行う様子も見られた 【スポーツナビ】
4月9日、東京・天王洲アイルのサムライインキュベート社で、あるハッカソンイベントが開催された。そこでは通常のハッカソンとはやや異なる光景が見られた。スタッフ、参加者がおそろいのTシャツを着用し、その胸にはオレンジのYGマーク。そう、このイベントは読売巨人軍が協賛する『ジャイアンツハッカソン』というイベントだった。
今回はIBM社が提供する開発プラットフォームに加え、巨人の選手データ、ファンクラブ会員データ、グッズ販売データなどの本来は極秘とされるデータ、データスタジアム社による1球ごとのプレーデータが提供され、2日間にわたって各グループが独自の企画開発を競った。
元投手、上野氏が審査員に
参加者の話に聞き入る上野氏 【スポーツナビ】
まず、各チームによるアイデアソンと呼ばれる企画会議が行われた。何を作るか事前に決めていたチームもあれば、苦悶の表情を浮かべて時間が過ぎていくチームも……。それでも会場内には笑い声が響くなど和気あいあいとした雰囲気だった。
午後になって1人の長身男性が会場にやってきた。彼の名前は上野裕平。2000年ドラフト2位で立教大から巨人に入団。4年間の現役生活を経て、現在は巨人軍統括部に勤務する。いわば「野球の現場を知る男」だ。
企画会議に続いて、上野氏ら巨人関係者や運営スタッフらによる企画案の聞き取りとアドバイスの時間へ。このイベントの数日前に発表されたLINEを使ったBOT(自動応答プログラム)、仮想通貨を使ったポイントシステム、360度カメラを使ったVR(バーチャルリアリティ)映像システムなど、参加者たちはバラエティに富んだ企画を提案した。自分たちのアイデアが巨人の関係者にどのように響くのか、彼らの表情は真剣になっていった。上野氏らも参加者たちのプレゼンに耳を傾けながら、それぞれの視点から質問を投げかけ、さらにアイデアをブラッシュアップしていった。
参加した上野氏の同僚、深山淳也氏は「(IT技術の進化で)今までにできなかったファンサービスができるようになっている。たとえばプレーとプレー、イニング間のすき間時間に楽しむ企画というのはファンの課題を解決するものでしょう」と参加者たちのIT能力、知識の豊富さに驚きつつ感想を口にした。