前田健太、3戦連続好投で評価上昇 適応能力の高さでチームに溶け込む
スプリング・トレーニングから安定した投球内容でファンの心をつかんでいたが、6日のサンディエゴ・パドレス戦での見事なピッチングと初ホームランという鮮烈デビュー。続く12日はドジャースのホームオープナーという特別な日に5万人を超えるファンの前で無失点の好投を披露した。
そして迎えた先発3戦目。相手は同地区の永遠のライバル、ジャイアンツ。いやが応にもファンはヒートアップ。前田は大きな期待と声援を受けてマウンドに登った。
立ち上がりからボールが少し高めに浮き、厳しいストライクゾーンに苦しんだ。ここまで2試合で1四球しか出していなかったが、初回だけで2四球を出し24球を費やした。それでも得点は与えず、連続無失点イニングを「13」に伸ばす。3回、2ボール2ストライクからのスライダーをジョー・パニックにライトスタンドへ運ばれ、メジャー初失点。しかし許したのはこの1点のみ。ランナーを出しても、要所を締める丁寧なピッチングで点を与えなかった。5回にジョク・ペダーソンの逆転2ランでリードをもらうと、直後の6回には相手のクリーンアップをわずか10球で打ち取り、7回は自身の好フィールディングからのダブルプレーで締めた。7回4安打1失点7奪三振3四球、98球。メジャー2勝目を本拠地初勝利で飾った。
デビューから連続無失点イニングは途絶えたものの、それでも14回2/3はドジャースの球団史上3位タイの記録。宿敵ジャイアンツを破り、ドジャースファンに前田健太の存在を印象付けた夜になった。
ポージーも「話に聞いていた以上のピッチャー」
「ケンタマエダは素晴らしいパフォーマンスを続けまた輝いた」(MLB公式サイト)
「ジャイアンツのバットはマエダによって沈黙した」(サンフランシスコ・クロニクル)
試合後「(審判にストライクを)あまりとってもらえず気にし過ぎたが、切り替えて根気よく投げた」と語った前田。現地メディアも修正能力の高さと安定感のあるピッチングを絶賛して伝えた。
この2チームの対戦は7日から10日までサンフランシスコでも4試合行われている。その時、ドジャース先発陣で唯一前田だけ登板がなかった。前田についてジャイアンツの選手や関係者に話を聞こうと試みたが、唯一ブルース・ボウチー監督から「ボールを四隅に投げ分けることができる、制球力に優れたピッチャー」という言葉が聞けただけで、ほとんど投球を見たことがないという答えだった。
今回の対戦を終え、主砲バスター・ポージーは「話に聞いていた以上のピッチャー。今日は彼にプレッシャーを与える事ができなかったね」と振り返る。唯一の得点を挙げたパニックは「次回対戦するためにもっと研究が必要だね。(防御率0.47は)驚異的な数字だよ」と話した。ジャイアンツにとっては、また一人ドジャースに厄介なピッチャーが増えたというのが本音だろう。