ハリルホジッチ「罠にかからないように」 W杯予選 シリア戦前日会見

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優しさは必要だが、アグレッシブさも必要

ハリルホジッチ監督は選手たちにさらなる改善を求めた 【スポーツナビ】

――これまで2次予選を戦ってきて、日本の選手の自ら課題を見つけて動く力、自ら判断し、プレーを選択する能力をどのように感じているのか?

 今のところ、グラウンド上で彼らとトレーニングしているが、それ以外にホテル内でのディスカッションも多く行っている。そして選手同士も彼ら自身でMTGを開いてくれており、たくさん話をしている。私はトレーニングに対するビジョンを彼らに伝えている。日本の選手が何を向上させるべきか、日本のチームが何をするべきか。

 私は1年かけてここにいるが、いくつかのことを期待している。いくつかのことは変化させてほしい。例えば、ヨーロッパがやっていること。それに関して変わってほしい。一つの例だが、Jリーグを見ると、PKが少ない。まるで存在していないかのような現象が起きている。それはなぜか。そういったことなどたくさん変わらなければいけないことがある。バルセロナはここ10試合で10回、PKをもらっている。Jリーグを50試合以上視察に行っているが、ペナルティーが何回あったか? それが日本のチームの今のイメージになってしまっている。

 前回の試合、かなり日本がボールを支配した。FKが効果的に直接決まったものはない。もちろんいろいろな結論は導き出せるが、そういったことを踏まえて、彼らに話している。深いところまで彼らに求めている。リスペクトはOKだろう、トラディショナル(伝統)もOKだろう。しかし、例えば相手がわれわれをたたいてきたら、それを謝る必要はない、ストップと言わなければいけない。「俺も殴る可能性があるぞ」と、それに関してわれわれは勇気を見せなくてはいけない。いつも受けるのではなく。ディフェンスも同じ。いつも下がりながらのディフェンスではダメ。前にいきながら、高い位置でプレーする、こういうのがレボリューションだ。

 昨日は10分のゲームを2本やったが、かなり高いレベルのゲームになった。素晴らしいものを見せてくれた。少しボールを仕留めるところについては修正する部分もある。本当にみなさんが思っているより難しいプロジェクトをわれわれは行っている。われわれはトレーニングをする中で、本当にたくさん会話をし、本当に私はずっと彼らと話をしている。もっとコミュニケーションを取ってほしい。ボールを出すときには絶対に話さざるを得ないはず。だが、それがすぐに話せるようにはならない。少しずつ、少しずつ。私はその道筋を分かっている。フィジカルの面も、メンタルをどこまで上げるべきかということも。彼らはかなり受け取ってくれている。彼らは素晴らしい人間たちだ。本当に日本の文化、伝統のおかげでここまで素晴らしい人間性が出来上がっていると思う。優しさは必要だが、しっかりと戦うアグレッシブさも必要だ。

 日本のラグビーのチームは何をしたか。いろいろなものを発展させ、そして成功した。もちろん5〜6カ月の連続した合宿期間があったならば、わたしもラグビーのように結果が出せるだろう。しかし、今のところ2〜3回のトレーニングのみで、話すことがメーンになってくる。本当にディテールを毎日のように選手に話している。選手も意見を言うようになってきた。「これはどうなの?」と。長谷部(誠)もそうだ。これも発展だ、成功するかは分からないが。

 発展の方法、発展させることすべてを把握している。本当にたくさんディテールがある。タクティクス、フィジカルなど。国内組と海外組の差がまだある。それを、話さなければいけない。もっともっと野心を持っていてくれと言わなくてはいけない。

 本当にたくさんのプロジェクト、たくさんのことをやらなくてはいけない。性格のことなど、そういったことを変えなくてはいけない。人間性は本当に素晴らしいが、これからは戦う精神にならなければいけない。錦織(圭)が一人でやるスポーツではない。コンタクトの戦いがフットボールなのだ。
 
 本当にたくさんのことがある。何時間も喋り続けることがでるくらい(笑)。

──お願いがある。いつでもいいので、昨日のような真剣な紅白戦をわれわれに見せてもらえないか。またファンの方々にも、選手が真剣に戦っている姿を見せていただくことはできないだろうか?

 昨日は10分×2本の激しい紅白戦だったが、10分×2本が限界だ。宇佐美(貴史)はハーフナー・マイクに対して信じられないようなタックルをしていた。リーグ戦でそんな姿は一度も見たことがなかった(笑)。とにかく、センターバックのようなタックルを宇佐美は見せていた。われわれは身長が高いわけではない。小さい選手が、ものすごいスピードでボール回しをしなければならない。皆さんには心の底から言いたいが、ずっと見ていたい試合だった。ただし、それを90分間続ける準備はできていない。

──その10分だけでも見ることはできないのか?

 皆さんに見る資格があれば見せる。いつか、様子を見て。タクティクスの練習をしたのは昨日だけだが、私はトレーニング中にいろいろなことを叫んだり、いろんなことを言ってしまう。皆さんからは、私が批判ばかりしていると(記事に)書いてしまうだろう。もうちょっとお互いに理解してから、皆さんのことをもうちょっと信頼できてからにしたい。私は歌手ではないが、もうのどがガラガラだ(笑)。選手と仕事をするのがとても楽しい。素晴らしい人間ばかりだが、グラウンド外と同様にグラウンドでももっとコミュニケーションをしてほしい。試合中も90分ずっとコミュニケーションしてほしい。ただし人間性を変える必要はない。

シリア代表監督「シリアの人々を幸せにしたい」

「シリアの人々を幸せにしたい」と意気込みを語ったイブラヒム監督(左) 【スポーツナビ】

 ここからシリア代表のファジェル・イブラヒム監督とハムディ・アルマッスリの会見。

──選手と監督へ。国内事情が大変な中で奮闘しているわけだが、シリア国民や難民となった人々、そして世界中のシリアに注目している人々にメッセージはあるか?(植田路生/フットボール批評)

イブラヒム監督 来日できて、とてもうれしく思う。シリアが置かれている厳しい状況は皆さんご存じだろう。チームとしてぜひ伝えたいのは、シリアの人々を幸せにしたいということだ。それこそがわれわれのモチベーションになっている。シリアは文明と歴史のある国だが、今は病んでいる。それでも決してシリアが死に絶えることはない。われわれの唯一のメッセージは、とにかく人々を幸せにするということだ。

アルマッスリ われわれは、良い結果を出したいという強いモチベーションをもって日本に来ている。良い結果を出すことで国民を幸せにしたい。

──シリア代表は来日メンバーが17人しかいない。そのような状況で明日、どう日本と戦うのか?(アラビア語)

イブラヒム監督 今日はフォーメーションや戦術について話すつもりはない。もっと重要なのはルール、規律、秩序だ。良いチームを作るには、まず規律が大切だ。

──明日予想される試合展開は? また、どう勝ち点を取るのか?

イブラヒム監督 日本はすでに予選通過を決めており、シリアも95%決まっていると言っても過言ではない。非常に面白く、力強い試合となる。重要なのはプレスの掛け合いだと思う。万が一、他の(グループ2位の)4チームがずべて勝ってシリアが負けると、われわれは予選通過がかなわなくなるが、基本的にそうはならないだろう。だから明日は、とても良い試合になると思う。

──日本で警戒する選手がいれば教えてほしい。

イブラヒム監督 日本には、国外のビッグクラブでプレーしている選手が数多くいる。チーム全体としても、日本が強いことも理解している。強い日本と対戦するために十分な備えをしてきたし、強いモチベーションもある。

──シリアにとって、W杯に出場することがどんな意味を持つのか教えてほしい。

イブラヒム監督 もし最終予選を突破できたら、初のW杯出場になる。その道程は容易ではないが、いつか必ず実現できると確信している。そのためには質の高いゲーム、そして質の高い選手が必要だ。それだけの選手がそろっていると確信している。いつか必ず実現できると思うが、そのためにはもちろん時間がかかる。それでも、今の選手の資質については全幅の信頼を置いているし、選手もモチベーションに満ちているので、必ずやり遂げられると信じている。

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