【RISE】17歳・那須川天心が初の世界王座戴冠

長谷川亮

天才高校生・那須川天心が自信初の世界タイトルとなるISKA世界バンタム級王座を戴冠 【長谷川亮】

「RISE 110」が26日、東京・後楽園ホールで開催された。
 メインイベントは14年7月のデビュー以来12戦12勝(10KO)と無敗街道を突き進む那須川天心が初めて挑む世界タイトルマッチ。ポルトガル国内王座&国際タイトルを保持するフレッド“The Joker”コルデイロ(ポルトガル)とISKA世界バンタム級(−55kg)王座決定戦を争い、初の世界タイトルを戴冠した。

左ヒザをカウンターで合わせダウン奪取

左ヒザをカウンターで合わせダウンを奪取 【長谷川亮】

 17歳・サウスポーの那須川に対し、20歳のコルデイロは43戦35勝8敗(8KO)の戦績で、パンチとロー、バックスピンキックを得意とするオーソドックスの選手。映像をチェックした那須川も「今までやってきた相手の中で1、2を争うぐらいの強さ」と警戒する。

 初回から右強打をフック、ストレートと振るうコルデイロだが、那須川はこれをかわして直後の左ストレート、左ローと攻め立てる。ラウンド終盤にはコルデイロに顔面前蹴りもヒットする。そして2Rに入ると那須川はヒザ、パンチとボディに攻撃を集め、コルデイロがパンチを振るってきたところへ左ヒザをカウンターで合わせダウンを奪取。

バッティングに苦しみながらも判定勝利

【長谷川亮】

 左右ボディーブローに力を込めフィニッシュを迫った那須川だが、コルデイロはここをしのぎ、3Rから反撃を開始する。那須川も序盤に比べやや勢いが落ちて前に出られなくなり、コルデイロはそこへ得意のバックスピンキック、右ストレートと当てていく。

 さらに偶発性のものではあったが2度(4Rと5R)バッティングに見舞われた那須川はコルデイロが二重に見える状態に陥ったといい、ダウンの追加とKOはならず。しかし2Rのダウンがものをいい、判定は49−45、49−45、48−46の3−0で那須川。自身初となる世界のベルトを腰にした。

世界王座戴冠もさらなる上をめざす

【長谷川亮】

 試合を終えた那須川は「見ての通りです。ISKAの世界チャンピオンになりましたが、外国人はフィジカルが強く手こずりました。バッティングで記憶がなくなったというか、初めて頭がフラフラになって、今も二重に見えます。でも、これもいい経験だと思います」と苦戦を語り、その上で「自分はまだまだこんなもんじゃないと思ってます。また判定になってしまいましたが、目指すのはKOなので、もっと練習して最強の選手を目指します」と世界王座奪取に飽き足らず、さらなる向上心を見せた。

“ミスターRISE”を倒し復活勝利

SB鈴木はアウェーのリングで“ミスターRISE”裕樹を下し復活勝利 【長谷川亮】

 また、セミファイナルではRISEで3階級を制し“ミスターRISE”の称号を持つ裕樹と、シュートボクシングのエースで“怪物くん”の呼称を持つ鈴木博昭が激突した。

 両者は13年11月のS−cup日本トーナメント準決勝で対戦し鈴木が判定勝ち。しかしこの時は一本背負いで鈴木があげたシュートポイントが勝敗の分かれ目となっており、今回は場所とルールを変えてのリマッチとなった。

 試合は鈴木がサウスポーから右ジャブと前蹴りを多用して裕樹に得意のローに入らせず、ジャブに加えて左ストレートも決めていく(1R)。2R、裕樹は顔の前にガードを立てて前進を強めるが、鈴木は変わらずジャブとストレート、そして顔にも前蹴りを送り、さらに跳びヒザも見舞っていく。

 3R、両者前半の押し合いを経て、後半は裕樹がローキックを効果的に当て鈴木の体が泳ぐ場面も見られたが、試合は結局鈴木が見せた前半の攻勢が支持を受け29−29、30−29、30−28の2−0で判定勝利。ザカリア・ゾウガリー、タップロン・ハーデスワークアウトと敗れていた鈴木だが連敗を止め、アウェーのリングで復活勝利を果たした。

 そのほか、大会の全試合結果は以下の通り。

■「RISE 110」
3月26日(土)東京・後楽園ホール

<第9試合 メインイベント ISKAオリエンタルルール世界バンタム級(−55kg)王座決定戦 3分5R>
○那須川天心(TARGET/RISEバンタム級王者、BLADE FC JAPAN CUP 2015 −55kg優勝)
(判定3−0)
●フレッド“The Joker”コルデイロ (ポルトガル/ISKA世界4位、DUELライト級王者、PMKFポルトガルフェザー級王者)
※49−45、49−45、48−46
※那須川が新王者に

<第8試合 セミファイナル −65.5kg契約 3分3R延長1R>
○鈴木博昭(ストライキングジムAres/SB世界スーパーライト級王者)
(判定2−0)
●裕樹(ANCHOR GYM/RISEスーパーライト級王者)
※29−29、30−28、30−29

<第7試合 −95kg契約 3分3R延長1R>
○清水賢吾(極真会館/RISE&SB日本ヘビー級王者)
(延長判定3−0)
●ルイス・モライス(ポルトガル/ストライカーズリーグ90kg級王者)
※3者10−9
※本戦判定は3者29−29でドロー

<第6試合 RISEバンタム級次期挑戦者決定トーナメント準決勝 3分3R延長1R>
○村越優汰(湘南格闘クラブ/前RISEバンタム級王者)
(3R1分37秒 KO)
●有松朝(リアルディール/RISEバンタム級3位)

<第5試合 −64kg契約 3分3R延長1R>
○番長兇侍(習志野トップチーム/RISEスーパーライト級6位)
(1R0分46秒 KO)
●丹羽圭介(HAYATO GYM/RISEライト級4位)

<第4試合 フェザー級 3分3R延長1R>
○森本“狂犬”義久(BRING IT ONパラエストラ葛西/RISEフェザー級3位)
(3R 2分22秒 KO)
●長崎秀哉(WSRフェアテックス/元M−1フェザー級王者)

<第3試合 ライト級 3分3R延長1R>
○直樹(BRING IT ONパラエストラ葛西/RISEスーパーフェザー級10位)
(判定3−0)
●藤田雄也(極真会館/RISEライト級5位)
※29−27、29−27、29−26

<第2試合 ヘビー級 3分3R延長1R>
○夏樹(ハートRボクシングジム/元RISEライトヘビー級4位)
(3R1分03秒 KO)
●山中政信(正道会館/RISEヘビー級6位)

<第1試合 バンタム級 3分3R>
○半澤信也(トイカツ道場)
(判定3−0)
●佐藤駿(PHOENIX)
※30−27、30−27、30−26
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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