CL準々決勝の4カードを読み解く 幸運を授かったレアルとバイエルン

士気が上がらないバイエルンだが……

バイエルンはグアルディオラ監督が今季限りの退団を発表した影響でチームの士気が低下している 【写真:ロイター/アフロ】

 バイエルンはジョゼップ・グアルディオラ監督が今季限りの退団を発表した影響で、チームの士気が低下し、ブンデスリーガでは2位につけるボルシア・ドルトムントの追い上げを許し、CLでも敗退まであと一歩のところまで追い込まれた。

 ユベントスとの決勝トーナメント1回戦は予期せぬ展開の連続だった。アウェーのファーストレグでは0−2とリードしながら2−2に追いつかれ、ホームのセカンドレグでは逆に前半のうちに2点を先行された。それでも、さらなる失点の危機を耐え抜いたバイエルンは、猛攻を仕掛けた末に終了間際に同点に追いつき、延長戦の後半に2ゴールを追加し大逆転劇を実現した。

 ここまで不安定な戦いが続いてきたが、この危機を乗り越えたことで自信を回復したという意味では、バイエルンにも再びタイトル獲得への道が開けてきたと言える。ベンフィカとの準々決勝ではセカンドレグをアウェーで戦うことになるとはいえ、バイエルンが本命であることは間違いない。

本調子とは言えないアトレティコ・マドリー

本調子とは程遠い状態にあるアトレティコだが…… 【写真:ロイター/アフロ】

 バルセロナとアトレティコ・マドリーの対戦は間違いなくハイレベルな2試合になるだろう。ルイス・エンリケの指揮下ではバルセロナが6戦6勝と勝ち続けているものの、ディエゴ・シメオネ率いるアトレティコ・マドリーはいつだって厄介なライバルであり、どの対戦も妥協なきハードな試合だったことに変わりはない。

 しかし、現在のアトレティコ・マドリーは本調子とはほど遠い状態にある。それはスポルティング・ヒホンにアウェーで完敗した3月19日の国内リーグ(1−2)だけでなく、格下と見られていたPSVにホームのビセンテ・カルデロンでも大苦戦を強いられた(0−0からのPK戦で勝利)、CLでの戦いぶりにも表れている。

 長らく攻撃陣が得点力不足に悩んでいることに加え、バルセロナ戦を前に3人のセンターバックが立て続けに負傷離脱をしたことも問題だ。ディエゴ・ゴディンはぎりぎり間に合う可能性があるが、ホセ・ヒメネスの出場は絶望的で、ステファン・サビッチの回復状況もはっきりしていない。それは南米トリオを前線に擁し、39試合無敗という信じられない流れを維持しているバルセロナにとって、大きなアドバンテージとなる。

 PSGとマンチェスター・シティは最も実力が拮抗(きっこう)している2チームだが、ホームでセカンドレグを戦えるという点でわずかに後者が有利だと言える。すでにリーグアン優勝を決めているPSGには、CLに専念できるという利点がある。一方、マヌエル・ペジェグリーニ率いるシティは、プレミアリーグでCL出場権を勝ち取ることが年々難しくなっている。

 またマンチェスター・シティはバイエルンと同じく、グアルディオラの次期監督就任が発表されたことで多くの選手たちの未来が不透明になり、それがチームのパフォーマンスに悪影響を与えている印象がある。とはいえ、初の8強入りを果たしたCLは、クラブにとっても選手たちにとっても、ヨーロッパの舞台でトップレベルの仲間入りをする絶好の機会だ。モチベーションには事欠かないだけに、素晴らしいゲームを見せてくれるのではないか。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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