坂本勇人の守備を生かすクルーズ獲得 センターライン強化が今季の“補強”

鷲田康

選手によって変わる“高橋野球”

オープン戦でさっそく得意のグラブトスを披露したクルーズ(右)。坂本とともに守備の要になることも期待される 【写真は共同】

 高橋野球とはどういう野球なのか?

 沖縄キャンプを打ち上げ、本格的にオープン戦に入った直後、このことを当の巨人・高橋由伸監督本人に聞いてみた。

「どういう野球をやるかは、どういうメンバーになるかで変わってくると思います」

答えはこうだった。

 監督就任から、チーム再生のポイントとして新指揮官が挙げてきたのは打線の強化だった。防御率2.78とリーグ1位だった投手力に比べて、チーム打率2割4分3厘はリーグ最下位。この打線を少しでもテコ入れしなければ、ペナント奪回への道が開けないことは分かっている。

「理想はレギュラーを固定できること。その上でとにかく目標としてチーム打率を何とか2割6分まで上げたいということを掲げました。しかしそう簡単にはいかないことも分かっています。だから……」

 キャンプからオープン戦を通じて、とにかく選手に競わせて、その中から新しいチームの骨格を作り上げることを目指しているのが現状だ。誰が軸となってどういう打線を組めるのか? また誰がローテーションに入って、どういう投手編成になるのか? そこが固まらない限り、高橋野球の指針も決まらないということである。

阿部、クルーズ、坂本のトライアングル

 逆説的に言えば、高橋野球はあえてどういう野球という固定観念は持たないとも言える。今年の巨人は出場している選手によって、その野球は色を変え、目まぐるしく変貌していく。そうして最終的にはレギュラーが定まり、高橋野球の色が決まるということである。

 ただ、そんなまだまだ色を変える高橋野球の中でも、こと投手を支える守備陣に関しては、あらためて太い柱となる選手たちがいることは見逃せないところである。

 今季から捕手に復帰する阿部慎之助とキャプテンの遊撃手・坂本勇人、そして千葉ロッテから移籍してきた二塁手・クルーズという内野のトライアングルがそれである。

 捕手・阿部は就任直後の高橋監督が最初に打ったチーム改革の勝負手だった。

「就任して最初の何日間かの練習のときに『慎之助のコンディション、気持ち次第でオレはキャッチャーとして考えているんだけど、どうだ?』と話しました」

 その結果、本人が最終的に「もう一度、捕手としてやりたい」と申し出て復帰が決定した。

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著者プロフィール

1957年埼玉県生まれ。慶應義塾大学卒業後、報知新聞社入社。91年オフから巨人キャップとして93年の長嶋監督復帰、松井秀喜の入団などを取材。2003年に独立。日米を問わず野球の面白さを現場から伝え続け、雑誌、新聞で活躍。著書に『ホームラン術』『松井秀喜の言葉』『10・8 巨人VS.中日 史上最高の決戦』『長嶋茂雄 最後の日。1974.10.14』などがある。

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