- 室井昌也
- 2016年2月15日(月) 11:31

昨年11月に行われた『世界野球WBSCプレミア12』。この大会で日本代表・侍ジャパンは、準決勝韓国戦の9回表、3点のリードをひっくり返され決勝進出を逃した。一方、日本に勝利した韓国は決勝戦で米国を下し、大会初代王者に輝いている。
その韓国優勝の立役者でクリーンアップに座った3人の打者が今年、そろって活躍の場を米国に移す。準決勝で決勝打を放ったイ・デホ(33歳、前福岡ソフトバンク)、シーズン50発男のパク・ピョンホ(29歳、前ネクセン)、そしてプレミア12大会MVPのキム・ヒョンス(28歳、前トゥサン)の3人だ。彼らはどのような評価を受け、太平洋を渡るのか。
イ・デホはマ軍とマイナー契約
3人の中でイ・デホは2012年から海外に進出。オリックス1年目に打点王のタイトルを獲得した。そして昨年はソフトバンクの主軸として日本シリーズでMVPになるなど、既に日本で成功を収めている。
しかし昨オフに4年1200万ドル(約13億5600円)でツインズに迎え入れられたパク・ピョンホ、2年700万ドル(約7億9100万円)でオリオールズと契約したキム・ヒョンスに対し、イ・デホがマリナーズと交わしたのはマイナー契約だった。年俸は出来高を含めて最大で400万ドル(約4億5200万円)と伝えられ、昨季のソフトバンクでの推定年俸5億円から下がる評価となっている。
イ・デホが厳しい契約内容となった理由について、米国での特派員経験があり、韓国きってのメジャー通で知られるミン・フンギ解説委員はこう話す。
「イ・デホには当初3つの球団が関心を持っていると伝えられていましたが、その評価は年齢や体形などマイナス面がクローズアップされていました。今年34歳ということで“2、3年前ならともかく、ピークは過ぎた”という判断に至ったようです」
しかし、この3人の中で「技術レベルが最も高いのはイ・デホ」と話すのは、プレミア12日本代表で投手コーチを務め、韓国打線と対峙(たいじ)した野球評論家の鹿取義隆氏だ。
「イ・デホは懐が深くて軸がぶれません。ボールを呼び込むことができて、体の回転を使ってインコースもさばけます。他のバッターに比べて隙がありません」
実績と高い技術はあるもメジャー契約を得られなかったイ・デホ。イ・デホは就労ビザが発給され次第、渡米してマリナーズのキャンプに招待選手として参加し、メジャー枠入りを争うことになる。