センバツ当落線上だった21世紀枠の小山台 エース伊藤優輔が出場決定を振り返る

高木遊

初日に準V・履正社に大敗

本格派右腕として注目されたセンバツでは、同大会準優勝の履正社の前に11失点を喫した 【写真は共同】

 迎えた甲子園初戦の相手は大阪の強豪・履正社に決まった。
「(組み合わせ抽選会で)僕らは1番くじだったので、そこから対戦校がどこになるのかをずっと待っていました。そしたら近畿の順番にきて、“頼むから、この辺りはこないでくれと”思っていたら来てしまって…。正直、“ちょっとやべえな”って思いました(笑)」

 大会1日目の第3試合に行われた初戦は、「開会式が終わって1度宿舎に戻ってから向かったのですが、緊張というよりなんだかフワフワした感じでした」と伊藤は振り返る。

 結果は0対11。9回1死までは履正社のエース・溝田悠人に無安打に抑えられるなど完敗。試合時間もわずか1時間48分。この大会で準優勝した全国的強豪に力の差を見せつけられる形となった。

 伊藤も9安打10四死球11失点という結果だったが、「全国トップレベルのチームで試合したことで、トップレベルとの力の差を分かったのは良かったですね」と前向きに捉える。

 最後の夏は東東京大会準々決勝で帝京に敗れ、高校野球生活は終わった。
「センバツで、この11点差を埋めれば全国でも戦えるんだと全員で分かりましたから、そうした意識で練習をしていました。夏も他校からマークされる中で、東東京大会でベスト8まで行けたのは、それが大きかったと思います」

大きな糧となった高校時代の経験

21世紀枠選出校へは「甲子園という舞台を楽しんで欲しいですね。僕らは甲子園という舞台を意識しすぎました(笑)」と自身の苦い経験も踏まえエールを送る 【撮影:高木遊】

 プロからも注目された伊藤だが、プロ志望届は提出せずに中央大へ進学。1年春から初登板を果たすと、秋には初勝利を挙げ、春の王者・専修大戦では完投勝利を挙げるなど、期待に違わぬ投球を見せている。

 その活躍を支えているのは、高校時代の経験が大きい。
「こんなに野球に集中してやれる環境がなかったので、今は幸せですね。単位(取得)も順調です。高校時代は短時間の練習でしたが、その中で先輩たちも好成績を残してきましたし、その中でどれだけ効率的にやるかが小山台の良さでした。当時は注目を浴びて疲れたこともありましたが、今はそれもいい経験です」と爽やかに笑った。

 大学では、左腕エースの村川翔太(新4年)からトレーニングやコンディショニングを学び、同じく右の本格派・鍬原拓也(新3年)とは同部屋で生活をともにし、さまざまなことを吸収している。

 野球が存分にできる環境となった今も、その環境でこそ得られるものと時間を大切にし、東都大学リーグを代表する投手、そしてプロ野球界入りでの活躍を夢見る日々を送っている。

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著者プロフィール

1988年、東京都生まれ。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。関東を中心に全国各地の大学野球を精力的に取材。中学、高校、社会人などアマチュア野球全般やラグビーなども取材領域とする。

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