ユナイテッド復調に不可欠な指揮官の姿勢 ファン・ハール体制で“再出発”の向き
監督交代が問題の解決策とささやかれたが……
プレミア有経験者という観点からは、前任地のサウサンプトンと現在のトッテナムで、攻撃と育成の積極姿勢を明確に示しているマウリシオ・ポチェッティーノの方がユナイテッド向きだろう。しかし、今季中の引き抜きは不可能。識者間でも「理想的」との声が強いジョゼップ・グアルディオラも同様だ。助監督のライアン・ギグスに暫定指揮を任せて繋ぐ手はあるが、モイーズ後を引き受けた前回以上に内容と結果の即両立を要求される状況は現在のギグスには荷が重い。
最優先はゴールゲッターの獲得
だが、最終的に誰が加入したとしても、攻めの姿勢なくして得点増は難しい。ファン・ハールは、指示通りに選手たちが実現しているポゼッションの主目的を、「敵に攻めさせないため」から「敵を攻めるため」へと変更しなくてはならない。
当の指揮官が少しばかり積極性を見せた1月2日の20節スウォンジー・シティ戦(2−1)では、CL戦を含めて9試合ぶりの白星が実現した。両軍無得点に終わった前半はユナイテッドファンも不安といら立ちを募らせたが、3−4−2−1システムのウィングバックとして攻撃参加を期待されていたアシュリー・ヤングが後半2分に絶好のクロスを送り、リーグ戦では過去3カ月半で2点目となるマルシャルの先制ゴールを演出。同点にされた6分後の勝ち越し点は、左サイドを突破したマルシャルの折り返しをバックヒールで流し込んだルーニーの2カ月ぶりのゴールだった。
無論、一朝一夕にユナイテッドらしい姿が戻るはずはないが、その変化に不可欠な指揮官の姿勢は本人の気持ちひとつで変えられる。攻撃陣の中でも最もゴールが欲しかった両FWの自己表現による勝利は、ファン・ハールがチームをリスク回避の呪縛から解放するきっかけとなるべきだ。試合後、自ら「出発点」という言葉も口にした指揮官が「長丁場」を強調したシーズンの行方には、積極姿勢を増して優勝戦線に踏みとどまったユナイテッドのトップ4に、メディアが再び「さすが」とファン・ハールを評する結末もあり得るのだから。