橋口厩舎ジワリ千勝へ◎ミッキー 「競馬巴投げ!第113回」1万円馬券勝負
ハワイのどこに競馬があるっちゅうねん!
[写真4]マーティンボロはここが叩き2走目、上積みは十分だろう 【写真:乗峯栄一】
しかし2週間後の校了直前になってその若い編集者が豹変した。「JRA○○課(失念した、たぶん馬券発売関係の部署だったと思う)からクレームがあり、この原稿は掲載できないとのことです」と言う。狐につままれたような話だ。
「掲載できないとのこと」とは何だ。「優駿」という雑誌は掲載の最終決定を編集部でやるのではなく、毎回後ろの巨大JRA本体の決裁によって決めるようなのだ。さらに驚いたのは“クレーム”の中身だ。「JRAとしては諸外国との善隣関係において、外国に行った場合はその国の競馬を楽しむことを推奨しています」と若い編集者は“なんとか課長”を代弁する。
「そんな、ハワイ行ったらハワイの競馬楽しめって、ハワイのどこに競馬があるっちゅうねん! 大体“外国からのPAT投票は好ましくない”って、そんなことJRAホームページでも、IPATページでも一行も書いてないじゃないか」
「何と言われてもあなたの原稿は間違ってます」
「あんた、だって、2週前にはこの原稿、面白いって言ったじゃないか。じゃとにかくその○○課の課長に会わせてくれ、何のクレームなのかさっぱり分からんから」
「そんなことは出来ません、わたしが説明します」と、その若手編集者は2週間の間に急激に強情者に変わっていた。
それが人間としての最低限の礼儀じゃないのか
[写真5]マジェスティハーツと森一馬騎手、待望の重賞初制覇を狙う 【写真:乗峯栄一】
それまでも何度か寄稿していたが、新橋の「優駿」編集部という所には初めて行った。いや正確には編集部の前まで行き「乗峯の原稿がなぜいけないか」を示す膨大な書類束を抱えた編集者と喫茶店で会い、「ごめんなさい」ではなく「教えてあげよう」と言われただけだ。
“クレーム元凶”の「JRAなんとか課長」にはついに会えず“得体の知れない力に潰された”という感覚しか残ってない。
若干の知己、JRA広報部(当時の)報道部長を頼りに六本木まで行き、原稿を見て貰った。「問題はないと思いますよ」とその報道部長は言い「後日、あらためて優駿編集部の方から説明するよう言いますので」という言葉を貰って別れた。以来10年、優駿編集部からの説明はまだない。そればかりか、それまで長年の連載もしていた雑誌「優駿」からの原稿依頼もまったくなくなった。ぼくが東京まで文句を言いに行ったばっかりにだ。原稿ボツに「ごもっとも」と静かに従っていれば、まだ仕事も来たんだろうが。
わずか4枚程度、原稿料にして2万か3万かという豆コラムだ。地を這う文筆業・乗峯でもこれぐらいのカネならある。しかし一旦は担当編集者が「面白い」と言って受け取った原稿を、顔も名前も分からない人間の了解不能なクレームによってボツにされて、こんなに悔しいことはない。墓まで持っていく。解雇でも契約解除でも原稿ボツでも、ひとに不利益を与える決定をしたときは最低限、顔を出す、それが人間としての最低限の礼儀じゃないのか、なんとか課長。
今年から、JRAは外国主要競馬の馬券を日本でも売り出すという。「その国に行ったら、その国の競馬を楽しむのがJRAの善隣方針」じゃないのか。日本で外国の競馬買っていいのか。もし方針を改めるのだったら、法律変える前に、乗峯栄一の名誉を回復しろ。「ハワイから自分のIPAT口座で馬券買った」そのどこが悪いのか(ぼくはかえって“よく外国から買ってくれました”と感謝されると思っていた)、ちゃんと説明してくれ。
ムシケラのようなライターは説明するに能わずか。