箱根完全Vをもたらしたサイクルの確立 青山学院大OBが語る強さの秘密
高橋宗司(青山学院大OB)
青山学院大の強さの要因として、サイクルの確立を挙げた高橋氏 【スポーツナビ】
3強と言われた3校がそのまま上位3つに来るというのは、個々の力と言うよりチームとしての地力があったからです。上位3校には共通するベースがあると思うんですね。それにプラスアルファがあったのが青山学院大だったという印象です。
今大会を見て感じたのは、やっぱり前が見える位置に最初からいるというのがすごく大きいということ。流れというのは地力も覆すくらい、大きい要素だなと思いました。具体的に言うと去年もそうでしたけど、青山学院大は出だしの1区と6区ですよね。往路では久保田、復路では小野田が良い走りで流れを持ってきました。6区の重要性は(秋山清仁が区間新記録をマークした)日本体育大も証明してくれましたね(日体大は往路13位から7位に浮上)。逆に駒澤大は1区が13位と良くありませんでしたが、そこから3位に持ってこられたのはさすがだと思いました。
上位3校の差に限って言えば、「そんなところで変わるのか」というような、例えば掃除をそこまできちんとやるのかという部分くらいの差なのかなと思います。ただ、それをやってきたのが青山学院大なんです。そもそも、当たり前のベースがすごい高いところにいるのは間違いないですね。細かい話ですけど、ジョギングの平均ペースが1キロ3分半というのは、たぶん他の大学だったらびっくりすると思います。箱根駅伝を目指すうえで、勝つために最も近いやり方をしたから、青山学院大が一番になったんだと思います。
青山学院大は、指導やスカウティングなど強くなるためのサイクルが完全に確立されています。原監督に固定観念がないぶん、変化にどんどん対応できる。固定観念がないことに加え、サイクルがしっかりできているぶん、青山学院大の土壌はしっかり確立できているんです。だから強いままでいられると思います。東洋大もそれに近いサイクルを持っていると思います。あとは東京国際大ですね。ここは「箱根とはこうだ」みたいない文化がないぶん、今後は面白いと思います。