世界王者12人――イギリス・ボクシング界の隆盛

WOWOW

アメリカやメキシコを押さえてトップの王者数

人気沸騰のイギリス・ボクシング界を代表するIBFウェルター級王者ケル・ブルック 【(C)NAOKI FUKUDA】

 この数年、イギリスのボクシング界が隆盛を誇り、数多くの話題を提供している。現在の世界王者(12月15日時点)はウェルター級のケル・ブルック(29)やヘビー級のタイソン・フューリー(27)ら計12人。アメリカやメキシコを押さえてトップの王者数を誇る。さらに次世代のスター候補も目白押しで、まだまだ華やかな状態は続きそうな気配だ。

 もともとイギリスは近代ボクシング発祥の地ということもあり、流れさえくればブームに乗りやすいという点では他国よりも優位にあるのかもしれない。その火付け役はWBA、IBF世界スーパー・ミドル級王者のカール・フロッチだったといっていいだろう。
「コブラ」のニックネームを持つフロッチは、13年11月に同胞のジョージ・グローブスを相手にスリリングな逆転TKO勝ちを収めて王座を防衛。翌年5月にはウェンブリー・スタジアムで再戦が行われた。チケットは飛ぶように売れ、会場は8万人近い大観衆で埋まった。ここでフロッチはまたしてもファンを熱狂させる8回TKOでグローブスを沈めてみせた。
 これを機にイギリスのボクシング人気は沸騰。イギリス出身でアイルランド国籍を持つアンディ・リーを含め、現在は以下のとおり12人の世界王者を擁するまでになった。2年前が5人だったことを考えると、現在の勢いが分かるだろう。

WBAバンタム級:ジェイミー・マクドネル
IBFバンタム級:リー・ハスキンス
WBAスーパー・バンタム級:スコット・クイッグ
IBFスーパー・バンタム級:カール・フランプトン
IBFフェザー級:リー・セルビー
WBAライト級:アンソニー・クロラ
WBOライト級:テリー・フラナガン
IBFウェルター級:ケル・ブルック
WBOスーパー・ウェルター級:リアム・スミス
WBOミドル級:アンディ・リー
IBFスーパー・ミドル級・ジェームス・デゲイル
WBA、IBF、WBO3団体統一ヘビー級:タイソン・フューリー

さらに次世代のスター候補も目白押し

2月27日にはマンチェスターでWBA王者クイッグとイギリス人王者対決に臨むIBF王者カール・フランプトン 【(C)NAOKI FUKUDA】

 このほかにも12年ロンドン五輪の金メダリスト、ヘビー級のアンソニー・ジョシュア、ライト級のルーク・キャンベルといった次世代のスター候補も育ってきている。また、2階級制覇を狙うアミール・カーン、来年1月に戦線復帰が決まった元世界クルーザー級&ヘビー級王者、デビッド・ヘイといった知名度の高い選手もいる。
 興味深いのは、プロモーターたちが積極的に国内のライバル対決を実現させている点である。12月19日にはリーが五輪出場の実績を持つビリー・ジョー・サンダースを相手にマンチェスターで防衛戦を行うことになっており、来年2月13日にはフラナガンが前WBA暫定世界ライト級王者のデリー・マシューズをリバプールで迎え撃つ。さらに2月27日にはフランプトン対クイッグの世界王者対決がマンチェスターで実現する。ブルック対カーンのマッチメークも期待されている。

 こうしたイベントが歓迎され成功する裏には、イギリス特有の地域意識がある。イギリスはイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドという4つの地域で構成されており、それぞれの対抗意識が強い。北アイルランドを拠点にするフランプトンとイングランド出身のクイッグの組み合わせなどは、その典型例といえよう。また、マクドネルやセルビー、ブルック、デゲイルらを擁するマッチルーム・スポーツのエディ・ハーン・プロモーターと、フラナガンやスミスと契約しているフランク・ウォーレン・プロモーターの競争意識もプラス効果をもたらしているようだ。
 タレントも豊富なイギリスのボクシング人気は、まだしばらく続きそうだ。

Written by ボクシングライター原功

◆◆◆WOWOW番組情報(PR)◆◆◆

★エキサイトマッチ〜世界プロボクシング
デゲイルが初防衛戦で、過去9度王座防衛のビュテと激突する
12月21日(月)夜9:00[WOWOWライブ]

<WBO世界S・ライト級タイトルマッチ>
ジェームス・デゲイル(イギリス/IBF世界S・ミドル級チャンピオン)
ルシアン・ビュテ(ルーマニア/元IBF世界S・ミドル級チャンピオン)

<S・ライト級10回戦>
アミール・イマム(米国/WBC世界S・ライト級1位)
アドリアン・グラナドス(米国/アメリカ S・ライト級)

★エキサイトマッチ 2015年総集編
毎年恒例!2015年のボクシング総決算をお届け。今年もやります!2015年ベストマッチランキング!
12月28日(月)夜9:00[WOWOWライブ]
ゲスト:木村悠(帝拳)
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント