是か非か!? プロ野球「育成選手制度」=インフォグラフィックで検証

ベースボール・タイムズ

2005年オフ導入から10年

 野球界の底辺拡大のために2005年オフに導入された「育成選手制度」。NPBの『育成選手統一契約書』には、「支配下選手登録をめざし、球団に所属し、球団の指導を受け野球の技術、能力および品位あるマナーの養成等の一層の向上を目的にプロ野球選手として育成を受ける者」と記されてあるが、その主題、目的は本当に果たされているのだろうか。10年目のシーズンを終えた今、改めて検証してみたい。

3種類に分けられる育成選手

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 育成制度導入のきっかけは、日本社会の平成不況による社会人野球の相次ぐ廃部だった。チームの消滅は選手数の減少に直結する。それを懸念したNPBが、「準支配下登録選手」として上限70人の支配下登録選手とは別に「育成枠」の導入を決定。将来有望な若者に多くのチャンスを与えて、自ら“育成”できるようになった。

「1軍戦出場不可」、「背番号原則3ケタ」、「年俸240万円」、「契約期間3年まで」など多くの制約が設けられている育成選手。その経緯、種別を大きく分けると3通りあり、約半数は「育成ドラフトで入団した選手」で、残りの半数は「自由契約から育成選手として再契約した選手」と「同一球団5人目以降の外国人選手」となっている。10年間で341人という数の妥当性はさておき、その半数近くが「元支配下」と「外国人」が占めるようでは、「育成」という本来目的からは外れ、プロ野球選手を目指す日本の若者たちの“登竜門”だとは言い切れないだろう。

山口鉄也、松本哲也、岡田幸文らを輩出

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 年度別の推移を見るとどうだろうか。導入初年度の06年に育成選手を活用したのは、巨人、福岡ソフトバンク、中日、広島の4球団で、選手数は計13人。そのうち前年秋の育成ドラフトで入団した新人選手は6人だった。

 そこから同制度は一気に拡大。翌年には東北楽天、東京ヤクルト、翌々年には千葉ロッテ、オリックス、横浜(現・横浜DeNA)、阪神も育成ドラフトに参加し、それに伴って育成選手の数も右肩上がりで増加。09年には計26人の“育成ルーキー”が誕生した。翌10年はやや人数を減らしたが、11年には最多の29人が育成選手としてプロ入りし、埼玉西武が初参加した育成ドラフト後の翌12年には育成選手の在籍人数が計107人にも及んだ。

 球団別にみると、制度導入初期は育成出身の山口鉄也、松本哲也が08年、09年と新人王を受賞したこともあって「育成=巨人」の印象が強かったが、その後は09年にロッテに入団した西野勇士、岡田幸文が脚光を浴び、ここ4、5年は豊富な資金力を持つソフトバンクが積極的に同制度を活用。その中から山田大樹、千賀滉大、牧原大成、飯田優也、二保旭といった面々を支配下に送り出した。13年以降、全体数の増加は落ち着いたが、今季終了時点で巨人が13人、ソフトバンクは20人もの育成選手を保有している。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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