「ブレずにやり続ける」~勝てない日々も崩れなかった守護神・浅沼優瑠の流儀

クリアソン新宿
チーム・協会
 クリアソンの守護神としてゴールを守る浅沼。10試合得点なしという記録的苦境に立たされていたときも、動じることなく自身の仕事をまっとうしていたように見えた。キーパーという難しいポジションで、安定したパフォーマンスを発揮するためのメンタリティを聞いた。

【©Criacao 2025】

―今シーズンも苦しい時期がありました。得点が取れない中で、キーパーとしてどんなことを考えていましたか?
 点が取れないとき、キーパーとして何ができるのかを考えたんですが、正解にはたどり着けませんでした。現実的に、直接は関わることができない部分なので。ただ、後半戦に入って、ムラ(村越)のような選手が加入したことも大きいですが、全員の攻撃の仕組みの理解が深まったなと、キーパーをやっていても感じました。
 あとは攻守のバランスも良くなりました。このバランスは難しくて、僕がクリアソンに加入してから、ずっと課題に感じています。失点はしてないけど勝てないとか、逆にめっちゃ失点しちゃうとか、どっちつかずの3年間で、良いところに持っていけなかった。今は、攻撃で主導権を握りながらも、守備では凡事徹底ができていると思います。

【©Criacao 2025】

―今シーズン、印象に残っている試合はありますか?
 直近の勝った試合はもちろんよく覚えています。ただ、やっぱり印象に残っているのは、国立での試合です。惜しかったけど、最後の最後でやられて0−1で負けた。しかも、警戒していた相手のタレント、小林、藤本にやられた。試合の感想も色々な人から聞きました。あそこで引き分けていたら、また違ったかもしれないなと考えます。間違いなく今年のターニングポイントだった。

―国立開催は、難しいゲームになりがちですね。
 国立という舞台で、二重三重にみんな気負っています。ただそういう想い、プレッシャーがかかっているときほど、どういうプレーができるかが大事です。動じないというか、動じるけど、それをポジティブに変えられるようなメンタリティ。僕たちが勝つ集団であるためには必要だと思います。

【©Criacao】

―攻撃の仕組みについては、具体的にはどのような部分ですか?
 攻撃ではユズルくん(島田)が中心になってボールを動かす。ナオト(澤井)、マサヤ(吉田)が立ち位置をうまく取りながら、イノ(猪野毛)やムラなど自分で仕掛けられる選手が絡む。相手がボールを持っているときも、高い位置までプレスに行く、切り替えも早くなっている。それが攻撃につながっています。キツイからできないではなく、それをやれる基準になった、個人の成長も大きいと思います。池谷の守備が効いているみたいなことも含めて、選手の組み合わせをみんなが理解して、チームとしてやることを徹底できています。
―その辺り、浅沼選手はメンタルが安定しているように見えます。
 負けた後、気にしてないように見えすぎて怒られたりするんですけど(笑)。何かを背負うことは大事だと思うんですが、背負ったからといって、自分の能力が上がるわけではない、逆に能力が落ちるわけではない。「誰かのために」と思ってはいるけど、プレーはプレーとして切り離す。
 クリアソンは想いを大事にしているし、そういうのがないと進めないこともあります。ただ、大一番に、それが重たくなっちゃうこともある。どっちも大事だからこそ、試合中は開き直って自分に集中して良いんじゃないかなと。感覚は人それぞれだから、難しいところですが。

【©Criacao 2025】

―今シーズン、特に序盤は新加入の中島選手がスタメンで出る試合もありました。そういう中でも、安定したパフォーマンスが出せる秘訣はなんですか?
 自分が出たときも、ケイタロウ(中島)が出たときも、気持ちはあんまり変わらなくて「チームが勝てば良いな」と。「自分が出てれば、この失点は防げたのに」とかは感じなかった。外から見て思ったことは、練習なんかで伝え合っていた。ケイタロウのことも他のキーパーの3人のこともリスペクトしているので。もちろん、自分が試合に出れなくて悔しいという感情はあるけど、異論はない。
 Jリーグのとき、試合に出られない時期が長かったんです。「試合に出なきゃ」とか「結果を出せなきゃクビかも」とか、さっきの「背負う」に近いんですが、追い込んで、空回りしちゃってました。もっと良いプレーができるはずなのに。
 だから平常心、ブレずに自分のできることを淡々とやろうと。それが評価につながるし、それで評価されないのであれば、単純に実力が足りていなかったと思える。そういうメンタリティを大事にしているので、試合に出てもバタバタしないし、落ち着いてやれる理由かなと思います。

※10月18日・第25節 vs Honda FC マッチデープログラムより
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著者プロフィール

2005年に大学サークル仲間で結成。「創造」を意味するクラブ名の通り、「サッカーを通じて感動を創造し続ける存在でありたい」が理念。2021年にJFL昇格。新宿区などと連携し地域課題に取り組む。2024年には国立競技場でJFL最多の16,480人を動員。

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