山本由伸のMLB初完投につながった修正ポイントとは? 大谷翔平の打撃が崩された要因をデータから探る
フィリーズ戦からどんな修正をしたのか?
「やばい、バスが11時出発なんですよ。間に合うかな」
もう、あと20分しかなかった。
「せめて手を洗いたい」
完投したことで山本は、試合が終わってから通常のトリートメントを開始。その後、すぐに会見に呼ばれたため、シャワーを浴びる時間もなかった。
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会見場まで一緒に歩きながら、「九回も行けるか? と聞かれたのか」と聞くと、「いや、少しミーティング(九回の攻めについて)しましたけど、何も言われなかったので」とニヤリ。
もちろん、本人にとっても完投はMLB移籍以来初。それを大舞台でやってのけた。
「こっちにきて初めてだったので、すごく達成感がありましたが、チームの勝ちに貢献できたので、それが一番うれしかった」
ところで、前回のフィリーズ戦。山本はカーブとスプリットで1球も空振りを取れなかった。その前のレッズ戦では、カーブで7つ、スプリットで2つ。割合では42.9%だった。
そもそもフィリーズ打線は、カーブ、スプリットにほとんど手を出さなかった。山本も「相手の待ち方も一つあったと思う」と話し、それが徹底されていたことを仄めかしたが、昨日の会見では、修正に自信を覗かせた。
「どんな待ち方をしても、いい球だったときは、やっぱり空振りが取れたりすると思うので、前回の試合は試合の中で明らかにボール球だったり、ちょっとボール球が大きく外れたり、細かい技術ですけど、いろいろ気になるところがあったので、それを試合の中で修正できなかった。でも、ここ1週間でしっかり練習しましたし、明日は自信をもって臨める」
言葉通り、この日の試合では、スプリットで8個の空振り(40%)を奪い、カーブは2つ(17%)だったが、4シームで4つの空振りを奪う(27%)など、安定していた。
なによりこの日は、四球を一つ出したものの、3ボールになったのは3回だけ。四球が少ないことが必ずしも制球力の高さを示すわけではないが、相手がボール球を振った割合が40%。山本のキャリア平均は30.3%。リーグ平均が28.4%なので、もちろん高い比率。山本はストライクゾーンからボールになるような、相手が手を出したくなりそうなところに、見事にボールを操った。
「立ち上がり、投げていてすごく積極的にきているのを感じた。そこで有効な球をいいところに投げていけた。そういったところが(その数字に)つながったかなと思います」
相手の反応を見つつ、「気になるところ」を修正した結果だった。