是か非か!? プロ野球「育成選手制度」=インフォグラフィックで検証
最近増えている故障者リスト的扱い
【ベースボール・タイムズ】
現役での具定例を挙げると、「ラストチャンス枠」は野手転向から今季プロ初安打を放った赤坂和幸(中日)、フォーム改造が実った伊藤和雄(阪神)。「リベンジ枠」は移籍1年目から今季59試合に出場した堂上剛裕(巨人)。そして「リハビリ枠」には脇谷亮太(巨人)、近藤一樹(オリックス)、中川大志(楽天)らが、それぞれ手術による長期離脱を考慮して育成契約を結び、戦列復帰後に再び支配下選手として活躍している。
この中で特に増えているのが、「リハビリ枠」である。これは事実上、MLBの「故障者リスト」にあたるもので、1軍での実績を持つ中堅、ベテラン選手が「育成」の名の下で他の若手と同列に語るには大きな違和感がある。
日本ハムは育成選手ゼロ
【ベースボール・タイムズ】
今年10月の育成ドラフトでは計28人の若者たちが指名された。大量8人を指名した巨人が新たに3軍の設置を発表するなど、表向きは「裾野の拡大」を謳ってはいるが、実際は安い費用(支度金300万円、年俸240万円)での選手の囲い込みが可能だ。だが、多くの選手は支配下登録を経験せずにユニホームを脱いでいる。
これまで、育成制度によってプロ入りや復活のチャンスを得た選手がいたことは確かで、その意味では同制度の導入は大きな成果と意義があったと言える。だがその一方で、多くの選手が“育たず”にユニフォームを脱いだ。それを「自己責任だ」と決めつけるのは乱暴だ。例えば、日本ハムは選手の出場機会を確保するという編成方針から育成制度は一度も利用していない。果たして、どちらが“育成”に成功しているだろうか。導入10年、育成制度を見直す良い時期であると思う。
(文:三和直樹、グラフィックデザイン:山崎理美)