受け継がれる森、野村、仰木の遺産  ビジュアルで指導者の出身球団を考察

ベースボール・タイムズ

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 セ・リーグでは、ヤクルトが65%(17人中11人)、広島は81%(21人中17人)が自球団出身者で、生え抜き重視の人材登用を貫いている。ヤクルトでは伊藤智仁投手コーチ、杉村繁チーフ打撃コーチ、広島では高信二ヘッドコーチ、東出輝裕打撃コーチなど、真中、緒方両監督と同じく、現役時代からチーム一筋というコーチも目立つのも、この2球団の特徴だ。

 その一方で、ともに新監督を迎えた伝統球団の巨人と阪神は、“生え抜き”と“外様”が、ほぼ半々の割合でミックスされている。ただ、“外様”の中には、巨人では豊田清投手コーチ、阪神では片岡篤史打撃コーチといったように、現役途中に移籍加入した“半外様”のコーチも多くいる。その豊富な経験を元にした指導が期待される。

 その他、中日は谷繁元信監督の球歴を反映するようにDeNA(横浜)出身者を重用。そのDeNAは、ソフトバンクと並んで最多タイの9球団から人材をかき集めた。外国人監督の下、まずは首脳陣の意思疎通が重要になるだろう。

随分薄れいている元巨人の肩書き

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 12球団全体の監督、コーチを、改めて出身球団別に見ると、オリックス出身者が計30人と最も多く、ヤクルト、日本ハムを除く計10球団に拡散している。次いで広島出身者が26人(7球団)、さらに西武24人(9球団)、ヤクルト24人(7球団)、さらに日本ハム23人(6球団)と続く。

 さまざまな理由があるだろうが、統計から言えることは、仰木彬氏、森祇晶氏、野村克也氏の下で学んだ選手たちが、その後、監督、コーチとして手腕を発揮しているということ。また、広島、日本ハム出身者にも高いコーチ適性がうかがえる。その一方で、阪神出身者が10人(2球団)と、その少なさが目立つ。また、巨人出身者も17人(5球団)と下から数えた方が早い。“元巨人”という肩書きが引退後も重用された時代が長く続いたが、その傾向は随分と薄れていると言える。

 ファンからすれば、応援していた選手が、引退後も監督、コーチとして贔屓チームに残るのは非常にうれしく、感慨深いものだ。しかし、単なる「お友達内閣」ではチームは強くならない。選手だけでなく、監督、コーチの関係性、表情を見ながら1年を過ごすのも、一つの楽しみ方だろう。

(文:三和直樹、グラフィックデザイン:山崎理美)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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