エイシンヒカリ秋の盾へ、逃げ一直線! 「現時点では、いまのスタイルが一番」
武豊&エイシンヒカリ、天皇賞・秋も逃げあるのみだ(撮影:下野雄規) 【netkeiba.com】
衝撃のアイルランドT
アイルランドTでは外ラチまで“逸走”、競馬ファンの注目を一気に集めることに(撮影:下野雄規) 【netkeiba.com】
坂口正則調教師は苦笑し、昨秋のアイルランドTの衝撃を語った。
「大きいところを狙うなら、いつかは東京コースも走らないといけない。初めての左回りで、直線も戸惑ったんじゃないかな」
1000m通過58秒2のハイペースで飛ばしたエイシンヒカリは直線に入っても脚色が衰えず、そのまま逃げ切るかに見えた。
しかし、ラスト300m付近から徐々に右へと膨らみ、みるみるうちに外ラチぎりぎりの所までいってしまった。最内から大外まで大きくコースロスをしながら再び伸びて勝利するという常識破りのレースをやってのけ、注目の的となった。
今ではすっかり逃げ馬のイメージがついたエイシンヒカリだが、意外にもデビュー戦(京都・芝外1800m)は好位から差す競馬だった。
インの4番手から直線では逃げ馬の内をすくって、わずかなムチに反応しグンと加速し、圧勝。4月26日、皐月賞の翌週のことだった。
「元々体質に弱い所があったのと、5月の遅生まれなのでデビューも遅くなりました。でも、調教から動いていたのでやれる手応えはありました」
続く5月18日、3歳500万下、京都・芝外1800m。2戦目はスタートからスピードを見せるも、ハナを主張する馬がいたため2番手に控えた。
しかし300mほど走ると、首を上げて口を割り、抑え切れない感じで先頭を奪った。直線に入っても、後続を寄せ付けることなく勝利。逃げ馬として大成しそうな素質を見せた。
「スタートしてからのスピードが速いから、抑えられません。逃げ馬向きの性格ですね。うちの厩舎にも逃げ馬が結構いましたが、短距離が得意な馬ばかり。長い距離なんて珍しいです」
5連勝を挙げ、一気にオープンまで上り詰めた。
その後初めての重賞挑戦となったチャレンジカップこそ9着に敗れるも、休養を挟みオープン特別の都大路Sを逃げ切ると、エプソムCで初重賞制覇、続く毎日王冠で重賞連勝を遂げた。