エイシンヒカリ秋の盾へ、逃げ一直線! 「現時点では、いまのスタイルが一番」
理想はデビュー戦の好位差し
引き運動中のエイシンヒカリは実に落ち着いている 【netkeiba.com】
「でも、本当はデビュー戦のような競馬の方がいいんです。逃げ馬は、それしかないでしょ。工夫して、これからは番手から競馬ができるようじゃないと、この先、出世はできないんじゃないかな」
天皇賞・秋は控えるレースも視野に入れているのだろうか。すぐにこう付け加えた。
「現時点では、いまのスタイルが一番だけどね。スタートが速いし、抑えても行ってしまうから」
1984年に天皇賞・秋が現行の2000mになって以来、逃げ切り勝ちをおさめたのは2頭(1987年ニッポーテイオー、91年プレクラスニー)だけ。
「スタートから最初のコーナーまでが短いから、逃げ馬としては内目の枠がいいよね」
序盤にポジションを取りに行く逃げ馬にとって枠順の影響は大きい。
「鞍上は、逃げが得意な武豊騎手。すべて任せます。GIとなるとペースも全然違うから、どこまで逃げられるかだけど、ラスト1Fまでは先頭を走ってくるんじゃないかな。問題はそこからですね。強豪相手にどこまで辛抱できるか。この馬はしまいの粘りがすごいんです。並ばれて差し返したこともあったし、後ろから追いかけられても伸びる。勝負根性がいいんです」
「出るからには勝ちたい」
食事中はテンションが高い! 【netkeiba.com】
「今はもう問題ないですよ」
しかし、前向きすぎる性格ゆえ、こんな不安を口にした。
「パドックから馬場に入るまで、テンションが上がってしまうんです。前走の毎日王冠ではホライゾネットで対策をしてみたのですが、あまり効果は感じられませんでした。返し馬で走り出してしまえば落ち着くんですが。調教でも前向きな馬で走りたい気持ちが強すぎるんです」
そう話す坂口師の前を、引き運動中のエイシンヒカリが落ち着いた足取りで通り過ぎていった。
「オンオフの切り替えができて頭がいいんです。厩舎周りの運動は、ご覧の通り大人しいです」
一方で食事の時間になると、近寄りがたいほどの激しさで首を振り飼い葉をねだる。スイッチが入った時のテンションの高さは、逃げ馬としての強烈な推進力につながる部分でもあるのだろう。
「初めての58kgもどうか。もちろんみんな同じ斤量だけど、重くなるほど1kgの差は大きい。スタートやゴール前で堪えると思います。でも、ヒカリは若いですから。長い直線もこれまで辛抱してきたし、ペースが速いレースもあった。メンバーは強いけど、出るからには勝ちたいですね」