ザルツブルクで得点量産、南野拓実の野望 「ここに来たのはステップアップのため」
目先の目標は2ケタ得点
ここまで7ゴールを決めている南野。目先の目標は2ケタ得点だ 【Bongarts/Getty Images】
それ以降、先発に定着。8月30日のシュトルム・グラーツで1点、9月12日のSVグレーティヒ戦で2点、10月4日のラピッド・ウイーン、17日のアドミラ・メドリング戦でそれぞれ1点と、コンスタントにゴールを重ねている。同じポジションを巡るライバルには、22歳のノルウェー代表FWハーバード・ニールセン、同じく22歳のペルー代表のヨルディ・レイナ、南野と同じ20歳のU−21ドイツ代表MFハニ・ムフタルらがいるが、彼らとの競争も一歩リードしている状況だ。
「チームメートは各国代表でバリバリやってる選手ばっかりだし、本当に気を抜けない。自分もこの前のイラン戦(1−1)でやっとA代表デビューできましたけれど、5分くらいの間の出場で一度もボールを触れなかった。まだまだ信頼が足りないと強く感じました。代表に定着し、信頼を勝ち取るためにも、チームで結果を出さないといけない」と南野は日々、高いモチベーションを抱き、貪欲に上へ上へと這い上がろうとしているのだ。
目下、7ゴールの彼にとって、目先の目標は2ケタ得点だ。C大阪時代は13年の5点が最高だっただけに、その関門をクリアすることで、未来への希望が見えてくると本人も考えている。
「2ケタというのはプロになってまだ出したことがない数字ですし、1つの目安。もちろん通過点ですけれど、早くそこまで行きたいなという気持ちが強い。前半戦終了の12月中旬まであと7試合あるから、行けるところまでゴール数を伸ばしたいですね。
日本ではオーストリアリーグを見る機会はないだろうし、点を取ることで僕が元気でやっているのを示せると思う。『しっかり活躍してるよ』と伝えたいです」と南野は爽やかな笑顔をのぞかせた。
南野「サッカー界はいつ何が起きるとも限らない」
「ここに来たのはステップアップのため」と語る南野は、さらなる高みを目指す 【元川悦子】
クラブ側も「才能ある若手の登竜門」という位置づけを前向きに捉え、セカンドチームのFCリーフェリングを2部リーグに参戦させている。今年6月に京都サンガF.C.から移籍した奥川雅也は現在、こちらで経験を積んでいる。こうしたクラブの哲学も、南野の今後に良い影響を及ぼしそうだ。
「僕自身、ここに来たのはステップアップのため。ザルツブルクからビッグクラブへ行った選手はたくさんいるし、自分も狙ってます。サッカー界はいつ何が起きるとも限らない。この冬に移籍という話が出る可能性もある。そういうことを頭に入れながら、しっかり結果を出したいと思います」
3日前と同じSVリートを同じレッドブルアレナで迎え撃った27日のオーストリアリーグカップ3回戦でもスタメンでピッチに立った(結果は4−2で勝利)。惜しくもこの日もノーゴールに終わったが、周囲との信頼関係は着実に深まっている。この調子で自分の武器や特徴を遺憾なく発揮し続けていれば、香川真司のように欧州最高レベルまで上り詰めることも可能だろう。
「行けるところまでどんどん行け」とC大阪の先輩・柿谷曜一朗も背中を押していた。近未来の日本代表エース候補の彼には、歩みを止めず、先へ先へと突き進んでもらいたい。