晩節を汚し続けるロナウジーニョの現在 再び超絶技巧と笑顔を見ることができるか
わずか2カ月半でフルミネンセを退団
フルミネンセをわずか2カ月半で退団したロナウジーニョ。現在は無所属が続いている 【Getty Images】
スピードがなく、体がだるそうで、走っているより歩いている時間の方が長い。チームメートに足元へのパスを要求するが、自身が繰り出すパスは精度が低く、簡単にインターセプトされたり、流れてタッチラインを割ったり……。FKを蹴れば、ゴールの枠を大きく外れてしまう。ミスをする度、地元観衆がいら立ってブーイングを浴びせる。「もうやめてしまえ!」という罵声を聞きながら、両手を腰に当てて呆然と立ちすくむ姿が哀れを誘った。
後半、彼がピッチへ戻ってくることはなかった。若手選手と交代させられたのである。
そして、この45分間がロナウジーニョのフルミネンセにおける最後のプレーとなった。2日後の深夜、クラブが「双方の合意による退団」を発表。その後、本人が退団を申し出たことが明らかになった。
2カ月半の在籍中、全国リーグとコパ・ド・ブラジルの計9試合に出場し、得点もアシストもなし。チームにまったく貢献できなかった。退団を知ったサポーターは、「一体、何のために入団したんだ」と憤った。
バルセロナ退団後は移籍を繰り返す
バルセロナ在籍時には世界最優秀選手に選ばれた。しかし、退団後はなかなか輝きを取り戻せていない 【写真:ロイター/アフロ】
この年、フラメンゴでは全国リーグの31試合に出場して14得点7アシストとまずまずだった。しかし、クラブの財政状況が悪化して給料の遅配が続いたことから、翌年5月末に契約を解除。アトレチコ・ミネイロへ移った。
アトレチコ・ミネイロが本拠を置くベロオリゾンテは内陸地にある経済都市で、享楽的なリオとはまったく環境が異なる。夜遊びを抑えたので体調が上向き、13年のコパ・リベルタドーレス初制覇に貢献してサポーターから喝采を浴びた。この年の前半、ブラジル代表にも復帰した。
しかし、13年4月を最後に代表に呼ばれなくなり、切望していた14年W杯出場はかなわなかった。以後、モチベーションが低下したのは誰の目にも明らかだった。チーム練習を頻繁にサボるようになり、レヴィー・クルピ監督(元セレッソ大阪)が「彼の存在はチームの利益とならない」と判断して退団を勧告。昨年9月、メキシコの新興クラブ・ケレタロに加入した。
当初、ケレタロではサポーターから熱狂的に歓迎され、本人も「クラブにタイトルをもたらすために来た」と大見得を切った。しかし、やがて練習に身が入らなくなり、監督の信頼を失ってゆく。次第に出場機会が減り、今年6月に退団。7月11日、フルミネンセと16年末までの契約を結んだのである。