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世界に強さを見せつけたエディージャパン
強豪サモアに「想定通り」の快勝

苦手としていたサモアに快勝

強豪サモアに快勝も、落ち着いた表情で喜ぶ日本代表
強豪サモアに快勝も、落ち着いた表情で喜ぶ日本代表【Photo by Yuka SHIGA】

 南アフリカ戦の金星がフロックではないことを証明した。


 10月3日、ラグビー日本代表は、イングランド・ミルトンキーンズにあるスタジアムMKでワールドカップの予選プール3戦目・サモア代表戦を行った。予選プール2戦を終えてサモア、日本ともに勝点4で並び、得失点差の差で日本は4位。目標とする「決勝トーナメント進出」には、絶対負けられない一戦で、日本代表はほぼ試合をコントロールし26対5で快勝。8大会目にして初の大会2勝目を挙げた。


 日本代表とサモアの過去の対戦成績は3勝11敗だった。過去2回ベスト8に進出しているサモアに、ワールドカップでは勝っていない。2012年にエディー・ジャパンが発足して以来、サモアを含めたトンガ、フィジーのアイランダーのチームは1勝7敗と苦手。接点の強さ、身体能力の高さにやられていた。唯一の勝利は昨年5月、サモア戦だったが、今回のサモアのメンバー23人中、その試合に出場した選手は1人のみだった。


 ただ、日本代表は中3日だった第2戦・スコットランド戦とは違って、中9日と休養期間、分析、対策を立てるには十分の時間があった。試合前、日本代表のエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)はメンバー発表で「80分間、賢く、フィジカルに戦えば勝てる」と言ったが、まさしく、それが形となる。

「タックルして立ち上がって、タックルしての繰り返し」

豊富な運動量でタックルを繰り返したPR稲垣啓太
豊富な運動量でタックルを繰り返したPR稲垣啓太【Photo by Yuka SHIGA】

 まず、FWが試合開始から、運動量とセットプレーで優位に立ったことが勝因となった。「入りがよかったのはセットプレーのおかげ」とジョーンズHCが言えば、この試合で37歳150日の日本代表最年長記録を更新したLO大野均も「前回大会のトンガ戦(18対31で敗れる)のようにアイランダーはワールドカップでは別のチーム。最初の20分でスクラムやモールで圧力を受けると後手に回るので、それが絶対ないようにしたかった」と振り返った。


 またFLリーチ マイケル主将が試合前に「(ラックで人が密集している)暗いところに頭を突っ込まないと負ける。タックルして立ち上がって、またタックルしての繰り返し。接点の2人目のスピードも繰り返し。ハイパントのチェイスもそう。みんながハードワークすれば良い試合になる」と言っていた通り、特にFWが接点で体を張り続けた。


 ディフェンスでも、試合開始早々、SO立川理道がビッグヒットし、その後もバックローのFLリーチ主将、マイケル・ブロードハーストはチョップタックル(低いタックル)で相手を倒し続けた。またFWの奮闘ぶりを近くで見ていたSO小野晃征も「80分集中力が途切れなかったし、“2つ目の努力”というか、パスした後やタックルした後のサポートなどの、もう一つの仕事をしていた。常に全員が立って仕事ができた。FWが頑張っていたのでゲームメイクもしやすかった」とFWだけでなく、チームメイト全員を称えた。

相手の動き方、レフリーの判定傾向を分析

試合中にも何度も話し合い、戦い方を確認した
試合中にも何度も話し合い、戦い方を確認した【斉藤健仁】

 また試合後、「想定通りの試合だった」と選手たちは口をそろえたように、サモアの「個」に対して、日本代表は「組織」で挑んだ。分析によると、体重135キロのPRセンサス・ジョンストンを筆頭に、相手の大きなFWは順目、順目にボールを動かせば、ディフェンスをセットするタイミングが遅くなることがわかっていたという。また、相手のBK陣の一人、特にCTBが極端に上がって、外への展開を防ぐ「アンブレラディフェンス」をしてくることも予想していた。


 そのため、SHを起点とする「9シェイプ」を、ボール継続を意識し、ラインの幅を狭めて連続させた。初期のエディー・ジャパンを連想させるかのように、タッチライン際までボールを運んでいた姿が印象的。「スコットランド戦より良くできていた」とCTB立川理道が言うように、2つのシェイプを連動させることで相手のビッグヒットを受けるリスクを減らし、SO小野は「ワンパスで、シンプルにゲインラインを切りに言った」という。


 かねてから「レフリーも勝敗を分ける要因の一つ」とジョーンズHCが言っていたように、レフリーの笛にもしっかりと対応した。今回の試合を担当したのは世界トップクラスの一人と名高い南アフリカのクレイグ・ジュベール氏。攻撃側に有利な判定をするレフリーだった。試合前に「正しいプレーをして良い印象を与えたい。サモアに目を向けさせたい」とリーチ主将は語っていた。


 チームとして相手の弱みにつけ込んだことで、相手のFWがたまらずオフサイドやハンドの反則を繰り返した。そして、それが相手のディフェンスの規律を乱すことにつながり、前半16分、19分に危険なプレーでサモアは2枚のイエローカードをもらいシンビン(10分間の一時的退場)。日本は数的有利となり、FB五郎丸歩がPGを重ねて、24分、優位だったスクラムでペナルティートライを誘い、13対0として主導権を完全に握った。

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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