日本代表、攻撃を再整備してサモア戦へ 防御に工夫のスコットランドに完敗
「中3日」のために準備をしていたが…
試合終了後に円陣を組む日本代表。スコットランド戦は10対45で完敗を喫した 【斉藤健仁】
予選プールBの南アフリカ代表戦とスコットランド戦の間が、中3日ということは2012年の12月から決まっていた。TVの放映、そして世界ラグビー界の「秩序」の前に立場の弱い日本代表は抗うことはできない。
そのため、日本代表を率いるエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)は、準備を怠らなかった。2013年6月に9日間で3試合を行った。同年秋にはスコットランド代表戦の後に、今回の会場・キングスホルム・スタジアムで地元のグロスターとも対戦。また今年8月の世界選抜戦の後にも中3日で宗像サニックスと試合形式の練習も行った。3年前から想定し、準備していたために選手たちは「疲れは関係なかった」と気丈に振る舞った。
前半をリードするためにマフィ、福岡を起用
前半から何度もディフェンスラインを突破していたマフィは、後半に負傷交代した 【斉藤健仁】
そこで先発に起用したのが「フィジカルモンスター」の異名を取るNo.8アマナキ・レレイ・マフィ(NTTコミュニケーションズ)と、2年前のスコットランド戦で2トライを挙げたWTB福岡堅樹(筑波大4年)だった。また戦術面でもキックをうまく使いつつ、ボールインプレーを増やすだけでなく、中盤から積極的にボールを展開するアタッキングラグビーで勝負に出た。南アフリカ代表戦が「プランB」なら、こちらは「エディー・ジャパン」、本来の姿である「プランA」だった。
序盤こそ、スコットランドのSHクレイグ・レイドロー主将のハイパントに苦しめられ、自陣に押し込まれてPGを許してしまったが、12分、ラインアウトからのモールでマフィがトライを挙げて7対6と逆転した後からは、中盤では徐々に日本の攻撃にリズムが出てきた。実は、テリトリーでは64%、ポゼッションでは60%。ともに日本代表が上回った。この部分では指揮官の狙い通りだっただろう。
スコットランド第3列の働きでボール出しが遅れる
試合前に一団となって移動する日本代表 【斉藤健仁】
中盤ではSO立川理道(クボタ)が自身のランだけでなく、パスでうまく、FLリーチ マイケル(東芝)、マイケル・ブロードハースト(リコー)をゲインさせていた。ただSH田中史朗(パナソニック)が所属し、今年、スーパーラグビーの王者となったハイランダーズのチームメイトであるFLジョン・ハーディーは、その豊富な運動量でボールに絡み続け、No.8デーヴィッド・ダントンは、相手を抱えるタックル(チョークタックル)で効果的にボールが出るタイミングを遅らせていた。
また、22m内に入ると、相手はラックにあまりプレッシャーをかけず、広く立ち、しかも前に出るディフェンスで日本の攻撃を遮断。南アフリカ戦の勝利が、欧州の伝統国であるスコットランドを本気にさせたことも事実。結局、WTB福岡の走るスペースも生まれず、最初のトライ以外、ゴールラインを割ることはなかった。いずれにせよ、スコットランドは日本代表をしっかりと分析して試合に臨んでいた。